それで寿命は何秒縮む? :「損失余命」というリスクのものさし(半谷輝己 著)
Date:2025.07.01
書名 「それで寿命は何秒縮む?:「損失余命」というリスクのものさし」
著者 半谷 輝己
出版社 すばる舎
出版年 2016年
請求番号 EBOOK(電子ブック)
Kompass書誌情報
皆さんは、普段の生活の中で「どのようなリスク」を、どれくらい意識して生活をしていますか?
私たちは、この地球上に生きていく限り、常に安全な生活を脅かすリスクにさらされながら暮らしています。当然、程度の差は地域や時間などにより大きく異なります。これらのリスクは、自然現象により生じる危険と人為的なリスクに分類することができます。自然現象に基づくリスクは、人間の力で完全に取り除くことはできません。我々は生活の中で、人為的なリスクを日々下げる、大きくならないように努めています。
前置きはこれくらいとし、本題に入ります。私は放射線を扱う専門職とし長年過ごしてきました。今回、私が紹介する書籍は、リスクを時間に換算して紹介しています。その時間は、損失余命として扱われています。読者からすると、時間に置き換えて表現する方が、認識しやすいのではないでしょうか。一例を紹介しますが、コーヒーは1杯あたり20秒の損失余命、つまり、毎日1杯を30年間飲み続けると6日の損失余命になります。それよりびっくりすることは、最近高騰が続く白いご飯(書籍の記載に準ずる)はお茶碗1杯あたり39秒にもなります。「えっ」と思われた方は、是非ご自身で確認してみてください。ちなみに、「タバコ」は1本で12分、1箱(20本)あたり240分と示されています。これをベースに、多くは放射線に対するリスクが紹介されていますが、この書籍を読むことで、納得するものもあれば、それは違うと思うものもあると思います。
放射線に関することは、ここでは種明かしになるので触れませんが、シンプルに「おもしろい」と思える書籍でした。専門家でも見解の分かれる題材が多く示されているので、みなさん自身の生活に照らし合わせて読んでみてください。
医療健康科学部 准教授 平木 仁史