グローバル?メディア?スタディーズ学部の小林透教授と長崎大学の研究グループが分散型育成装置「Worm Pod(ワーム?ポッド)」を開発
グローバル?メディア?スタディーズ学部の 小林 透 教授が代表を務める駒澤大学および長崎大学を中心とする研究グループは、養殖魚の飼料として注目されるミルワーム(昆虫)を、低コストかつ効率的に生産できる分散型育成装置「Worm Pod(ワーム?ポッド)」を開発しました。
本研究では、IoT、仮想化、AIを活用し、複数の小規模飼育拠点を、あたかも一つの大規模工場のように一元管理する仕組みを実現しています(図1)。
水産養殖では、これまで魚粉(主にイワシ由来)が飼料として使われてきましたが、乱獲や国際情勢の影響により、価格は過去20年で約3倍に高騰しています(※)。こうした中、食品残渣を餌にでき、環境負荷の低いミルワームが代替飼料として注目されています。しかし、日本では山間部が多く、大規模な飼育工場の建設が難しいという課題がありました。一方、小規模拠点を分散させると、管理の手間やコストが増えるという問題もあります。
「Worm Pod」は、小型コンテナを活用した分散型のミルワーム育成装置です。各コンテナにはカメラや温湿度センサーが設置され、インターネットを通じてクラウドに接続されます(図2)。これにより、地理的に離れた複数のWorm Podを、一つの「仮想的な大規模工場」としてまとめて管理することが可能になります。スマートフォンやパソコンから、いつでも育成状況を確認できます(図3)。
研究チームは、AIによる画像解析技術を活用し、ミルワームの成長段階(幼虫?蛹?成虫)を自動で識別する仕組みを開発しました(図4)。ミルワームは、蛹になる直前が最も栄養価が高いとされており、AIはその最適な収穫タイミングを検知して通知します。これにより、これまで人手に頼っていた日常的な監視作業を大幅に削減できます。
研究では、九州北部の3か所(長崎県大村市、長崎市、福岡県飯塚市)にWorm Podを分散設置し、実証実験を行いました。その結果、「遠隔からの育成状況監視」、「AIによる収穫時期の自動判断」、「拠点の追加?停止を柔軟に行える運用」が可能であることを確認しました。
今後、「Worm Pod」は養殖場の近くで飼料を生産する「地産地消型モデル」の実現、遊休地や空き施設の有効活用、環境負荷の少ない持続可能な養殖業の実現に貢献する技術として展望を掲げています。
今回の研究成果は、2026年2月にDUBAI, UAEで開催されるIEEE 44th International Conference on Consumer Electronicsで発表される予定です。また、現在は、長崎大学発ベンチャー企業である株式会社Booonを中心に、実用化?事業化に向けた検討が進められています。
グローバル?メディア?スタディーズ学部 小林 透 教授によるコメント
小さな拠点でも、ネットワークでつなげば大きな力になります。Worm Podが、養殖業のコスト削減と環境問題の解決の両立に貢献できることを期待しています。
研究助成
本研究は、JSPS科研費(JP21H03558、JP24H00744)および内閣府『地域中核大学イノベーション創出環境強化事業』の支援を受けて実施されました。




