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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
侍者(ジシヤ) 禪家之官。〔元亀二年本311十〕
侍者(ジシヤ) 禪家官。〔静嘉堂本365一〕
被召具侍者聽叫請客頭許計光臨候者可進力者駕輿丁候〔至徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭○許光臨候者可進力者駕輿丁候〔宝徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭計光臨候者可進力者加輿丁候〔建部傳内本〕
被レ三召二-具侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)首計リヲ一光臨候者。可レ進二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
可被レ召シ二-具サ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭首(テウシユ)斗(ハカリ)一光臨候者。可レ進ズ二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔経覺筆本〕
被レ召二-具せ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)計(ハカリ)ヲ一光臨候者可レ進(シン)ヅレ力者(リキシヤ)加輿丁(カヨチヤウ)ヲ|候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「侍者」と記載し、訓みは、文明四年本に「メシ(グス)」と記載する。
侍者(ジシヤ/サブライ、ヒト・モノ) 即二長老左右ニ一也。肇ノ云菴已順テレ命ニ給二侍スル之一者。具二八法ヲ一云々。佛命二阿難ニ一為二侍者一云々。焼香者。又云二高待(タイ)侍者一。長老方丈惣奉行也。書?侍者。或云二侍(ジ)?ト一。記二頌録ヲ一官也。書札ノ官也。請(シン)客侍者又云二侍客(シカク)ト一樓客官也。湯藥侍者。又云二侍藥ト一。献レ茶官也。衣鉢(イフ)侍者。又云二侍衣(シエ)侍丈一道具奉行也。〔官位門919四〜六〕
侍者(ジシヤ) 焼香―。衣鉢―。書状―/請客―。湯藥―。〔弘・人倫門238一〕
侍者(ジシヤ) 侍丈。〔永・官名門200八〕
侍者(ジシヤ) 。〔尭・人倫門190七〕
侍者(ジシヤ) 焼香(シヨウカウ)―。書状(シヨジヤフ)―。請客(シンカ)/―。湯藥(タウヤク)―。衣鉢(イフ)エハツ―。〔人倫門203七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「侍者」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
511可ハ∨被レ∨召‖-具せ侍者 四品也。〔謙堂文庫蔵四九左E〕
とあって、標記語「侍者」の語を収載し、語注記は、「四品なり」と記載する。
侍(シ)者トハ喝食(カツ キ)タリシ人ヲ髪(カミ)ヲ剃(ソ)リ沙弥(シヤミ)ヲヘテ後(ゴ)一位ニアカツテ侍者ト云フナリ。禪家ノ侍僧也。〔下27オ五〜七〕
侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(てうしゆ)を召具(めしぐ)して/被∨召シ‖-具せラ侍者。召具とハ召連る事也。侍者は住持のかたハらに付従て事を達する役僧なり。□□□□□□□□侍者なとしていろ/\あり。〔74ウ八〕
とあって、この標記語「侍者」の語をもって収載し、語注記は、「侍者は住持のかたハらに付従て事を達する役僧なり。□□□□□□□□侍者なとしていろ/\あり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲侍者ハ沙弥の一段(だん)のぼりたる者(もの)也。和尚(おしやう)の傍(そば)に付添(つきそふ)て用を承(うけたまハ)る役僧(やくそう)也。又侍者とて五人あり。各(をの/\)十月の返状に記(しる)す。〔54オ七〜ウ八〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲侍者ハ沙弥(しやミ)の一段(だん)のぼりたる者(もの)也。和尚(おしやう)の傍(そば)に付添(つきそひ)て用を承る役僧也。又侍者とて五人あり。各(おの/\)十月の返状に記(しる)す。〔97ウ一〜98ウ二〕
Iixa.ジシヤ(侍者) 禅宗(Lenxus)の僧院における或る位.〔邦訳366l〕
じ-しゃ〔名〕【侍者】(一)貴人に侍して、其使役に充つるもの。そばづかへのもの。左傳、襄公七年「子駟相、又不レ禮焉、侍者諫不レ聽、又諫、殺レ之」西宮記、臨時、五「上皇脱?之後、云云、五位藏人爲二侍者一」(二)僧家にて、和尚の傍に付添ひて、用を承はる役僧。庭訓往來、九月「近日。執二行フ佛事大法會ヲ一事候フ。拝二請兎貴寺ノ長老ヲ一。定メ二申シ當日ノ唱導師ヲ一度候フ。被レ召シ二-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ一許シ二光臨ヲ一」〔0892-5〕
被召具侍者聽叫請客頭許計光臨候者可進力者駕輿丁候〔至徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭○許光臨候者可進力者駕輿丁候〔宝徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭計光臨候者可進力者加輿丁候〔建部傳内本〕
被レ三召二-具侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)首計リヲ一光臨候者。可レ進二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
可被レ召シ二-具サ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭首(テウシユ)斗(ハカリ)一光臨候者。可レ進ズ二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔経覺筆本〕
被レ召二-具せ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)計(ハカリ)ヲ一光臨候者可レ進(シン)ヅレ力者(リキシヤ)加輿丁(カヨチヤウ)ヲ|候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「召具」と記載し、訓みは、文明四年本に「メシ(グス)」と記載する。
召具(メシグス/せウ、○)[去・去] 。〔態藝門881七〕
召具(グ) 。〔弘・言語進退門229七〕
召具(メシグス) ―捕(トル)。―放(ハナシ)。―寄(ヨスル)/―集(アツム)。―出(イタス)。―篭(コムル)。〔永・言語門191二〕
召具(メシグス) ―捕。―放。―寄/―集。―出。―籠。〔尭・言語門180六〕
とあって、標記語「召具」の語を収載し、語注記に未記載にする。また、易林本『節用集』には、
召捕(メシトル) ―仕(ツカフ)。―次(ツギ)。―符(フ)/―文(ブミ)ブ。―籠(コムル)。―具(グ)。〔言辭門197二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「召具」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
511可ハ∨被レ∨召‖-具せ侍者 四品也。〔謙堂文庫蔵四九左E〕
とあって、標記語「召具」の語を収載し、語注記は未記載にする。
唱(シヤウ)導ヲ|度(タク)候フ。被レ∨召グセ‖-具唱導トハ頭(カシラ)ヲ取テ其節ヲナス人ナリ。〔下27オ五〕
侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(てうしゆ)を召具(めしぐ)して/被∨召シ‖-具せラ侍者。召具とハ召連る事也。侍者は住持のかたハらに付従て事を達する役僧なり。□□□□□□□□侍者なとしていろ/\あり。〔74ウ八〕
とあって、この標記語「召具」の語をもって収載し、語注記は、「召具師とハ法會の衆僧の首座となるもの也。唱ハとなへ導はミちひくとす。衆僧乃手本となるこゝろ也。是ハ侍者の寺の長老を頼て導師にせんとの事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ。〔54オ七〜ウ七・八〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)。〔97ウ一〜98ウ一〕
Mexiguxi,suru,ita.メシグシ,スル,シタ(召し具し,する,した) 自分と一緒に連れて行く.※これでは‘シタ’か‘イタ’か明らかでないが,サ変動詞であるから,‘した’であろう.〔邦訳399r〕
めし-ぐ・すスル・スレ・セ・シ・セヨ〔他動・左變〕【召倶】連れ行く。伴ひ行く。ともなふ。娥歌加留多(享保、近松作)五「山王と唐崎ヘ、七日まうでの乘物に、供人少少召しぐして」〔1988-2〕
抑近日執行仏事大法会候拝請貴寺長老定申當日唱導度候〔至徳三年本〕
抑近日執行佛事大法會之事候拝請貴寺長老定申當日唱導度相存候〔宝徳三年本〕
抑近日執行仏事大法会事候拝請貴寺之長老定申當日唱導候〔建部傳内本〕
抑近日執リ‖行フ仏事大法會ヲ|事候拝‖請シ貴寺ノ長老ヲ|定‖申當日ノ唱導ニ|度相存シ候〔山田俊雄藏本〕
抑(ソモ/\)近日執‖行仏事大法会ノ事ヲ|候拝(ハイ)‖請(シヤウ)シ貴(キ)寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ノ唱導ニ|度(タク)候〔経覺筆本〕
抑近日執行(トリヲコナウ)∨仏事大法會ヲ|候拝請(ハイシヤウ)シ∨貴寺(キチ)ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ニ唱(シヤウ)導ニ度候{於∨當日導師(タウシ)ニ申度存(ソン)シ候}〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「定申」・「定メ‖申シ」と記載する。
定申(サダメマウス/テイシン)[去・平] 。〔態藝門801三〕
このように、上記当代の古辞書においては、唯一広本『節用集』に標記語「定申」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「定申」の語を収載し、語注記は未記載にする。
貴寺(キシ)ノ長老(ラウ)ヲ|定‖申シ トハ貴(タツト)キ寺ノ主也。〔下27オ四〕
當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ/定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。當日ハ法会の當日也。唱導師とハ法會の衆僧の首座となるもの也。唱ハとなへ導はミちひくとす。衆僧乃手本となるこゝろ也。是ハ侍者の寺の長老を頼て導師にせんとの事事也。〔74ウ五〜七〕
とあって、この標記語「定申」の語をもって収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ。〔54オ七〜ウ六〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)。〔97ウ一〜98オ五〕
抑近日執行仏事大法会候拝請貴寺長老定申當日唱導度候〔至徳三年本〕
抑近日執行佛事大法會之事候拝請貴寺長老定申當日唱導度相存候〔宝徳三年本〕
抑近日執行仏事大法会事候拝請貴寺之長老定申當日唱導候〔建部傳内本〕
抑近日執リ‖行フ仏事大法會ヲ|事候拝‖請シ貴寺ノ長老ヲ|定‖申當日ノ唱導ニ|度相存シ候〔山田俊雄藏本〕
抑(ソモ/\)近日執‖行仏事大法会ノ事ヲ|候拝(ハイ)‖請(シヤウ)シ貴(キ)寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ノ唱導ニ|度(タク)候〔経覺筆本〕
抑近日執行(トリヲコナウ)∨仏事大法會ヲ|候拝請(ハイシヤウ)シ∨貴寺(キチ)ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ニ唱(シヤウ)導ニ度候{於∨當日導師(タウシ)ニ申度存(ソン)シ候}〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「唱導」と記載し、訓みは、文明四年本に「シヤウ(タウ)」と記載する。
將導(シヤウダウ/ヒキイル、ミチビク)[平・去] 。〔態藝門1018一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「唱導」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「唱導」の語を収載し、語注記は未記載にする。
唱(シヤウ)導ヲ|度(タク)候フ。被レ∨召グセ‖-具唱導トハ頭(カシラ)ヲ取テ其節ヲナス人ナリ。〔下27オ五〕
當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ/定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。當日ハ法会の當日也。唱導師とハ法會の衆僧の首座となるもの也。唱ハとなへ導はミちひくとす。衆僧乃手本となるこゝろ也。是ハ侍者の寺の長老を頼て導師にせんとの事也。〔74ウ五〜七〕
とあって、この標記語「唱導師」の語をもって収載し、語注記は、「唱導師とハ法會の衆僧の首座となるもの也。唱ハとなへ導はミちひくとす。衆僧乃手本となるこゝろ也。是ハ侍者の寺の長老を頼て導師にせんとの事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲唱導師ハ法會(ほふゑ)の首座(しゆざ)にして經文(きやうもん)を唱(とな)へはじめ衆僧(しゆそう)を導(みちび)き誘(いざな)ふ役(やく)也。〔54オ七〜ウ七・八〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲唱導師ハ法會(ほふゑ)の首座(しゆざ)にして經文(きやうもん)を唱(とな)へはしめ衆僧(しゆそう)を導(みちび)き誘(いさな)ふ役(やく)也。〔97ウ一〜98ウ一〕
†Xo<do<.シャウダウ(唱導) 法事の時に坊主(Bonzos)が行なう読経の先導者.文書語.〔邦訳790l〕
しゃう-だう〔名〕【唱導・倡道】(一)先だちとなへて、他をみちびくこと。先に、言ひ出すこと。詩經、箋「在レ上所二以倡道一」(佩文韻府)(二)法門を説きて、佛道に引き入るること。説教。源平盛衰記、廿、小兒讀諷誦事「修行者を招請して、唱導を勤めけるに」〔0968-1〕
當日(ニチ) 。〔元亀二年本138八〕〔天正十七年本中5ウ四〕
當日 。〔静嘉堂本147五〕
抑近日執行仏事大法会候拝請貴寺長老定申當日唱導度候〔至徳三年本〕
抑近日執行佛事大法會之事候拝請貴寺長老定申當日唱導度相存候〔宝徳三年本〕
抑近日執行仏事大法会事候拝請貴寺之長老定申當日唱導候〔建部傳内本〕
抑近日執リ‖行フ仏事大法會ヲ|事候拝‖請シ貴寺ノ長老ヲ|定‖申當日ノ唱導ニ|度相存シ候〔山田俊雄藏本〕
抑(ソモ/\)近日執‖行仏事大法会ノ事ヲ|候拝(ハイ)‖請(シヤウ)シ貴(キ)寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ノ唱導ニ|度(タク)候〔経覺筆本〕
抑近日執行(トリヲコナウ)∨仏事大法會ヲ|候拝請(ハイシヤウ)シ∨貴寺(キチ)ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ニ唱(シヤウ)導ニ度候{於∨當日導師(タウシ)ニ申度存(ソン)シ候}〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「當日」と記載する。
當日(タウニチ/アタル、ジチ・ヒ)[去・入] 。〔態藝門348二〕
當日(タウニチ) 。〔弘・言語進退門110三〕
とあって、弘治二年本にのみ標記語「當日」の語を収載し、語注記未記載にする。また、易林本『節用集』には、
當日(タウニチ) 。〔言語門〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「當日(タウニチ)」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「當日」の語を収載し、語注記は未記載にする。
當日ノトハ其日ニ當タル事也。〔下27オ四・五〕
當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ/定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。當日ハ法会の當日也。唱導師とハ法會の衆僧の首座となるもの也。唱ハとなへ導はミちひくとす。衆僧乃手本となるこゝろ也。是ハ侍者の寺の長老を頼て導師にせんとの事事也。〔74ウ五〜七〕
とあって、この標記語「當日」の語をもって収載し、語注記は、「當日は、法会の當日なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲大法會ハ佛(ふつ)事を修(しゆ)して衆僧(しゆそう)集会(よりあひ)するをいふ。〔54オ七〜ウ六〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲大法會ハ佛事(ぶつじ)を修(しゆ)して衆僧(しゆそう)集会(よりあひ)するを云。〔97ウ一〜98オ五〕
To<nichi.タウニチ(當日) Ataru fi.(当たる日) ある祝祭日とか,何か事の行われる日とかに当たる,きまった日.例,Natalno to<nichi.(ナタルの当日)ナタル(Natal キリスト降誕節)に当たる日.〔邦訳661l〕
たう-じつ〔名〕【當日】その日(ひ)。其事に當る日。陸游詩「惟有二築城詞一、哀怨如二當日一」〔1194-1〕
長老(チヤウラウ) 。〔元亀二年本65七〕
長老 。〔静嘉堂本76八〕
長老(ラウ) 。〔天正十七年本上38ウC〕
抑近日執行仏事大法会候拝請貴寺長老定申當日唱導度候〔至徳三年本〕
抑近日執行佛事大法會之事候拝請貴寺長老定申當日唱導度相存候〔宝徳三年本〕
抑近日執行仏事大法会事候拝請貴寺之長老定申當日唱導候〔建部傳内本〕
抑近日執リ‖行フ仏事大法會ヲ|事候拝‖請シ貴寺ノ長老ヲ|定‖申當日ノ唱導ニ|度相存シ候〔山田俊雄藏本〕
抑(ソモ/\)近日執‖行仏事大法会ノ事ヲ|候拝(ハイ)‖請(シヤウ)シ貴(キ)寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ノ唱導ニ|度(タク)候〔経覺筆本〕
抑近日執行(トリヲコナウ)∨仏事大法會ヲ|候拝請(ハイシヤウ)シ∨貴寺(キチ)ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ニ唱(シヤウ)導ニ度候{於∨當日導師(タウシ)ニ申度存(ソン)シ候}〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「長老」と記載する。
長老(チヤウラウ、ヲサ/ナガシ、ヲイ)[去・上] 内ニ有二智慧一可レ尊名二長老ト一。有二三長老一云々。〔官位門161七〕
長老(チヤウラウ) 。〔弘・人倫門48八〕〔永・人倫門50一〕〔両・人倫門54二〕
長老(チヤウラフ) 。〔尭・人倫門45九〕
とあって、標記語「長老」の語を収載し、語注記に未記載にする。また、易林本『節用集』には、
長老(チヤウラウ) 。〔人倫門〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「長老」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「長老」の語を収載し、語注記は未記載にする。
貴寺(キシ)ノ長老(ラウ)ヲ|定‖申シ トハ貴(タツト)キ寺ノ主也。〔下27オ四〕
抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)し/抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。拝請とハ敬迎る事也。貴寺ハ侍者の寺をさして云。長老ハ衆僧の頭にして仏義を極たる僧也。〔74ウ三〜五〕
とあって、この標記語「長老」の語をもって収載し、語注記は「長老は、衆僧の頭にして仏義を極たる僧なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲長老ハ一寺(じ)の頭(かしら)東堂(とうだう)をさしていふ。年豫(とし)老(たか)く学徳(がくとく)に長じたるの美称(びしよう)也。〔54オ七〜ウ七〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲長老ハ一寺(じ)の頭(かしら)東堂(とうたう)をさしていふ。年(とし)豫老(たか)く学徳(がくとく)に長じたるの美称(ひしよう)也。〔97ウ一〜98オ六〕
Cho<ro<.チャウラウ(長老) 坊主(Bonzos)の間における重立った位,または,その位にある坊主(Bonzos).〔邦訳128l〕
ちゃう-らう〔名〕【長老】(一)年長けて尊むべき人の稱。先生と云はむが如し。史記、孝文帝紀「賞二賜長老一、收二恤孤獨一」(二)禪家にて、齒(よはひ)、學コ、竝に高き僧の稱號。傳燈録、禪門規式「凡具二道眼一、有二可レ尊之コ一、者、號曰二長老一、如下西域、道高?長、呼二須菩提等一之謂上也」(三)禪宗にて、住持、又は、先輩の僧を呼ぶ稱。庭訓往來、十月「律僧者、長老、知事」異制庭訓往來「京都、鎌倉五山、建長寺、云々、名刹、禪興寺、大慶寺、東勝寺、善福寺、等長老」祖庭事苑「今禪宗住持之者、必呼二長老一」〔1283-3〕
貴寺(ジ) 。〔元亀二年本281六〕〔静嘉堂本321六〕
抑近日執行仏事大法会候拝請貴寺長老定申當日唱導度候〔至徳三年本〕
抑近日執行佛事大法會之事候拝請貴寺長老定申當日唱導度相存候〔宝徳三年本〕
抑近日執行仏事大法会事候拝請貴寺之長老定申當日唱導候〔建部傳内本〕
抑近日執リ‖行フ仏事大法會ヲ|事候拝‖請シ貴寺ノ長老ヲ|定‖申當日ノ唱導ニ|度相存シ候〔山田俊雄藏本〕
抑(ソモ/\)近日執‖行仏事大法会ノ事ヲ|候拝(ハイ)‖請(シヤウ)シ貴(キ)寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ノ唱導ニ|度(タク)候〔経覺筆本〕
抑近日執行(トリヲコナウ)∨仏事大法會ヲ|候拝請(ハイシヤウ)シ∨貴寺(キチ)ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ニ唱(シヤウ)導ニ度候{於∨當日導師(タウシ)ニ申度存(ソン)シ候}〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「無他」と記載し、訓みは、経覺筆本・文明四年本に「ミヤウリヨ」と記載する。
貴寺(キジ/タトシ、テラ)[去・去] 。〔態藝門821七〕
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「貴寺」の語を収載し、語注記は未記載にする。
貴寺(キシ)ノ長老(ラウ)ヲ|定‖申シ トハ貴(タツト)キ寺ノ主也。〔下27オ四〕
抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)し/抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。拝請とハ敬迎る事也。貴寺ハ侍者の寺をさして云。長老ハ衆僧の頭にして仏義を極たる僧也。〔74ウ三〜五〕
とあって、この標記語「貴寺」の語をもって収載し、語注記は、「貴寺は、侍者の寺をさして云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ。〔54オ七〜ウ六〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)。〔97ウ一〜98オ五〕
Qiji.キジ(貴寺) Tattoqi tera.(貴き寺)神聖な寺(Tera),あるいは,イゲレジヤ(Igreja 教会).寺(Tera)を敬って言う語.〔邦訳496r〕
抑近日執行仏事大法会候拝請貴寺長老定申當日唱導度候〔至徳三年本〕
抑近日執行佛事大法會之事候拝請貴寺長老定申當日唱導度相存候〔宝徳三年本〕
抑近日執行仏事大法会事候拝請貴寺之長老定申當日唱導候〔建部傳内本〕
抑近日執リ‖行フ仏事大法會ヲ|事候拝‖請シ貴寺ノ長老ヲ|定‖申當日ノ唱導ニ|度相存シ候〔山田俊雄藏本〕
抑(ソモ/\)近日執‖行仏事大法会ノ事ヲ|候拝(ハイ)‖請(シヤウ)シ貴(キ)寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ノ唱導ニ|度(タク)候〔経覺筆本〕
抑近日執行(トリヲコナウ)∨仏事大法會ヲ|候拝請(ハイシヤウ)シ∨貴寺(キチ)ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ニ唱(シヤウ)導ニ度候{於∨當日導師(タウシ)ニ申度存(ソン)シ候}〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「無他」と記載し、訓みは、経覺筆本・文明四年本に「ミヤウリヨ」と記載する。
拝請(ハイシヤウ・コウ/ヲガム、ウクル)[去・平去] 。〔態藝門63三〕
このように、上記当代の古辞書においては、唯一広本『節用集』に標記語「拝請」の語が収載されていて、これが古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「拝請」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)し/抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。拝請とハ敬迎る事也。貴寺ハ侍者の寺をさして云。長老ハ衆僧の頭にして仏義を極たる僧也。〔74ウ三〜五〕
とあって、この標記語「拝請」の語をもって収載し、語注記は、「拝請とハ敬迎る事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲拝請ハ敬(うやまつ)て招待(せうだい)する也。〔54オ七〜ウ七〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲拝請ハ敬(うやまつ)て招待(せうだい)する也。〔97ウ一〜98オ六〕
Faixo<.ハイシャウ(拝請) Vogami,vquru.(拝み,請くる)人を敬いつつしんで自分の家などへ迎えること.〔邦訳199r〕
抑近日執行仏事大法会候拝請貴寺長老定申當日唱導度候〔至徳三年本〕
抑近日執行佛事大法會之事候拝請貴寺長老定申當日唱導度相存候〔宝徳三年本〕
抑近日執行仏事大法会事候拝請貴寺之長老定申當日唱導候〔建部傳内本〕
抑近日執リ‖行フ仏事大法會ヲ|事候拝‖請シ貴寺ノ長老ヲ|定‖申當日ノ唱導ニ|度相存シ候〔山田俊雄藏本〕
抑(ソモ/\)近日執‖行仏事大法会ノ事ヲ|候拝(ハイ)‖請(シヤウ)シ貴(キ)寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ノ唱導ニ|度(タク)候〔経覺筆本〕
抑近日執行(トリヲコナウ)∨仏事大法會ヲ|候拝請(ハイシヤウ)シ∨貴寺(キチ)ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ニ唱(シヤウ)導ニ度候{於∨當日導師(タウシ)ニ申度存(ソン)シ候}〔文明四年本〕
と見え、宝徳三年本、文明四年本、山田俊雄藏本、の古写本は、「大法會」と記載し、至徳三年本、建部傳内本、経覺筆本は、「大法会」と記載する。
大法會(タイホフエ/ヲヽい也、ノリ、クワイ・アフ・アツマル)[去・○・去] 。〔態藝門343八〕
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「大法会」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)し/抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。拝請とハ敬迎る事也。貴寺ハ侍者の寺をさして云。長老ハ衆僧の頭にして仏義を極たる僧也。〔74ウ三〜五〕
とあって、この標記語「大法會」の語をもって収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲大法會ハ佛(ふつ)事を修(しゆ)して衆僧(しゆそう)集会(よりあひ)するをいふ。〔54オ七〜ウ六〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲大法會ハ佛事(ぶつじ)を修(しゆ)して衆僧(しゆそう)集会(よりあひ)するを云。〔97ウ一〜98オ五〕
Daifo>ye.ダイホウエ(大法會) 同上.〔邦訳178r〕
抑近日執行仏事大法会候拝請貴寺長老定申當日唱導度候〔至徳三年本〕
抑近日執行佛事大法會之事候拝請貴寺長老定申當日唱導度相存候〔宝徳三年本〕
抑近日執行仏事大法会事候拝請貴寺之長老定申當日唱導候〔建部傳内本〕
抑近日執リ‖行フ仏事大法會ヲ|事候拝‖請シ貴寺ノ長老ヲ|定‖申當日ノ唱導ニ|度相存シ候〔山田俊雄藏本〕
抑(ソモ/\)近日執‖行仏事大法会ノ事ヲ|候拝(ハイ)‖請(シヤウ)シ貴(キ)寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ノ唱導ニ|度(タク)候〔経覺筆本〕
抑近日執行(トリヲコナウ)∨仏事大法會ヲ|候拝請(ハイシヤウ)シ∨貴寺(キチ)ノ長老ヲ|定メ‖申シ當日ニ唱(シヤウ)導ニ度候{於∨當日導師(タウシ)ニ申度存(ソン)シ候}〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「仏事・佛事」と記載する。
佛輛(ブツジ/ホトケ、コト)[入・去] 。〔態藝門648七〕
佛事(ブツジ) 。〔言語門〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』と易林本『節用集』に標記語「佛事」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「佛事」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)し/抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。拝請とハ敬迎る事也。貴寺ハ侍者の寺をさして云。長老ハ衆僧の頭にして仏義を極たる僧也。〔74ウ三〜五〕
とあって、この標記語「佛事」の語をもって収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ。〔54オ七〜ウ六〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)。〔97ウ一〜98オ四〕
Butcuji.ブツジ(佛事) ゼンチヨ(gentio異教徒)の方式に従って,法華経(Foqeqio<)を読誦したりして行われる法事・法要.§Butcujiuo suru.(仏事をする)死者のために,坊主(Bo<zos)が上述のような法事,あるいは,追善法要をする.§また,俗人が坊主(Bo<zos)を招いて,仏(Fotoqe)の経典を読誦させ,布施を贈るなどして,法事・法要の営みをする.※1)3)6)原文はexequias.これは葬式・葬送行列の意であるが,ここのように法事・法要の意味にもあて用いる.羅葡日のExequiaeには葡語Exequiasと日本語‘葬礼,弔イノ法事’とを対訳として示している.2)5)Bo~zosとあるべきもの.〔Bo<jaの注〕4)原文はcomendaca~o(=encomendaca~o).故人の霊を慰めるための祈り,埋葬前の祈りの意であるが,法事・法要にあてて用い,別条にも例がある.→Butji(仏事);Itonami,u;Sajen.〔邦訳67r〕
ぶつ-じ〔名〕【佛事】佛法の祭。法會。法事。法要。書言字考節用集、三、神祇門「佛事、ブツジ」書言故事(宋、胡繼宗)四「維摩居士遣二八菩薩一、徃二衆香國一禮レ佛、言願得二世尊所レ食之餘一、欲下以娑婆世界、施中作佛事上、於是香積如來、以二衆香鉢一盛飯與レ之」北山抄、一、正月八日御斎會始事「近例、諒闇年、依レ供二佛事一、或不レ止レ之、可レ有レ議歟」榮花物語、十五、疑「御出家の間、未だ久しからで、せさせ給へる佛事は數を知らず」徒然草、百二十五段「四十九日の佛事に、或聖を請じ侍りしに、説法いみじくして、皆人涙を流しけり」〔1551-5〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度之至背仏意冥慮改悔外無他候〔至徳三年本〕
御法談之後常可令參仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之條越度之至背佛意冥慮改悔之外無他候〔宝徳三年本〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度至背仏意冥慮改悔之外無他候〔建部傳内本〕
御法談ノ之後常ニ可‖参拝仕ル|之旨相存シ候處ニ依テ‖公私ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令‖懈怠|之条越度ノ之至背ク‖仏意冥慮ヲ|改悔(ガイケ)之外無∨他候〔山田俊雄藏本〕
御法談之後チ常ニ可キ∨令∨参仕(シ)言上セ|之旨相イ存シ候之處ニ依テ∨公私?劇(ソウケキ)ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度之至リ背キ‖仏意(イ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイ )之外无ク∨他〔経覺筆本〕
御法談之後常ニ可∨令∨参仕(シ)言上|之旨相存候之處ニ依∨公私ノ?劇ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度ノ之至リ背(ソムク)‖仏意(フツイ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイケ)之外無ク‖他〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「無他」と記載し、訓みは、未記載にする。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「無レ他」の語は全て未収載にあり、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「無レ他」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(なく)候/後悔之外無ク∨他候。前非(セんひ)を悔るの外せんすべなしと也。是をハ前のの詞にたがひたるを詫(わび)し也。〔74オ一〕
とあって、この標記語「無レ他」の語をもって収載し、語注記は、「前非(セんひ)を悔るの外せんすべなしとなり。是をば、前のの詞にたがひたるを詫(わび)しなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲後悔ハ前(まへ)になせし僻事(ひがこと)を悔(くや)む也。〔54オ七〜ウ六〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲後悔ハ前になせし僻事(ひかこと)を悔(くや)む也。〔97ウ一〜98オ四〕
た〔名〕【他】(一)ほか。餘。詩經、小雅、小旻篇「人知二其一一、莫レ知二其他一」大學「若有一个臣、斷斷兮無二他ノ技一」宇治拾遺物語、十二、十八條「まことの心を、おこすと云ふは、他の事にあらず、佛法を信ずる也」「他の事」他の物」(二)外の人。他人。白居易詩「妬レ他似レ火、燒レ我鬢如レ霜」「他の身に代る」自他」〔1551-5〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度之至背仏意冥慮改悔外無他候〔至徳三年本〕
御法談之後常可令參仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之條越度之至背佛意冥慮改悔之外無他候〔宝徳三年本〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度至背仏意冥慮改悔之外無他候〔建部傳内本〕
御法談ノ之後常ニ可‖参拝仕ル|之旨相存シ候處ニ依テ‖公私ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令‖懈怠|之条越度ノ之至背ク‖仏意冥慮ヲ|改悔(ガイケ)之外無∨他候〔山田俊雄藏本〕
御法談之後チ常ニ可キ∨令∨参仕(シ)言上セ|之旨相イ存シ候之處ニ依テ∨公私?劇(ソウケキ)ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度之至リ背キ‖仏意(イ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイ )之外无ク∨他〔経覺筆本〕
御法談之後常ニ可∨令∨参仕(シ)言上|之旨相存候之處ニ依∨公私ノ?劇ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度ノ之至リ背(ソムク)‖仏意(フツイ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイケ)之外無ク‖他〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「改悔」と記載し、訓みは、山田俊雄藏本「ガイケ」、経覺筆本・文明四年本に「カイケ」と記載する。
改悔(カイクワイ/アラタメ、クユル)[上・上] 。〔態藝門278七〕
このように、上記当代の古辞書においては、唯一広本『節用集』に、標記語「改悔」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。が、訓は些か異なっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「改悔」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(なく)候/後悔之外無ク∨他候。前非(セんひ)を悔るの外せんすべなしと也。是をハ前のの詞にたがひたるを詫(わび)し也。〔74オ一〕
とあって、この標記語「後悔」の語をもって収載し、語注記は、「前非(セんひ)を悔るの外せんすべなしとなり。是をば、前のの詞にたがひたるを詫(わび)しなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲後悔ハ前(まへ)になせし僻事(ひがこと)を悔(くや)む也。〔54オ七〜ウ六〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲後悔ハ前になせし僻事(ひかこと)を悔(くや)む也。〔97ウ一〜98オ四〕
‡Gaiqe.ガイケ(改悔) 一向宗徒(Icco<xus)がイドロ(Idoro 偶像)に対して行なう或る請願.〔邦訳291l〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度之至背仏意冥慮改悔外無他候〔至徳三年本〕
御法談之後常可令參仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之條越度之至背佛意冥慮改悔之外無他候〔宝徳三年本〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度至背仏意冥慮改悔之外無他候〔建部傳内本〕
御法談ノ之後常ニ可‖参拝仕ル|之旨相存シ候處ニ依テ‖公私ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令‖懈怠|之条越度ノ之至背ク‖仏意冥慮ヲ|改悔(ガイケ)之外無∨他候〔山田俊雄藏本〕
御法談之後チ常ニ可キ∨令∨参仕(シ)言上セ|之旨相イ存シ候之處ニ依テ∨公私?劇(ソウケキ)ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度之至リ背キ‖仏意(イ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイ )之外无ク∨他〔経覺筆本〕
御法談之後常ニ可∨令∨参仕(シ)言上|之旨相存候之處ニ依∨公私ノ?劇ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度ノ之至リ背(ソムク)‖仏意(フツイ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイケ)之外無ク‖他〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「冥慮」と記載し、訓みは、経覺筆本・文明四年本に「ミヤウリヨ」と記載する。
冥慮( リヨ) 。〔言辭門149二〕
冥慮(ミヤウリヨ/メイ・クラシ、ヲモハカル)[去・去] 。〔神祇門894一〕
冥慮(ミヤウリヨ) 。〔弘・言語進退門233五〕
専慮(ミヤウリヨ) ―加(ガ)。―感(カン)。―助(ジヨ)/―罸(バツ)。―顕(ケン)。―敷(ミヤウノシク)。〔永・言語門194四〕
冥慮(ミヤウリヨ) ―加。―感。―助/―罸。―顕。―敷。〔尭・言語門184一〕
とあって、標記語「冥慮」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、
冥慮(ミヤウリヨ) 。〔言語門〕
このように、上記当代の古辞書においては、『下學集』、広本『節用集』、弘治二年本・永祿二年本・尭空本『節用集』、易林本『節用集』に標記語「冥慮」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。ただし、『運歩色葉集』だけがこの語を未収載にしていて、このことがなぜなのか、今後の課題として注目視されてくるところである。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「冥慮」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
佛意(ぶつい)冥慮(めうりよ)に背(そむ)き/背キ‖佛意冥慮ニ|。冥ハ奥(おく)深(ふかく)くして推はかられぬを云。冥慮とハ尊慮(そんりよ)賢慮(けんりよ)なといふこゝろなり。僧コなるゆへ冥の字を用ゆ。冥罰の冥の字と一義なるへし。言こゝろハ仏のこゝろにも師乃心にも背きたりと也。〔74オ八〜74ウ二〕
とあって、この標記語「冥慮」の語を収載し、語注記は、「冥は、奥(おく)深(ふかく)くして推はかられぬを云ふ。冥慮とは、尊慮(そんりよ)・賢慮(けんりよ)などいふこゝろなり。僧コなるゆへ冥の字を用ゆ。冥罰の冥の字と一義なるへし。言ふこゝろは、仏のこゝろにも師の心にも背きたりとなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲冥慮冥ハ幽暗(ゆうあん)也。神佛(しんぶつ)の意(こゝろ)ハあらハに人の知るべからざるの義。〔54オ七〜ウ五〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲冥慮冥ハ幽暗(いうあん)也。神仏(しんぶつ)の意(こゝろ)ハあらハに人の知るべからざるの義。〔97ウ一〜98オ四・五〕
Mio<rio.ミャゥリョ(冥慮) すなわち,Cami fotoqeno naixo>.(神仏の内証) 神(Camis)や仏(Fotoques)の内心,意志。〔邦訳409l〕
みょう-りょ〔名〕【冥慮】〔冥冥の思慮の意〕~佛のおぼしめし。~慮。庭訓往來、九月「越度之至、背二佛意冥慮一、改悔之外無レ他候」太平記、三十九、諸大名讒二道朝一事「終に身を被レ失けるも、只春日大明~の冥慮也と覺えたり」〔1952-1〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度之至背仏意冥慮改悔外無他候〔至徳三年本〕
御法談之後常可令參仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之條越度之至背佛意冥慮改悔之外無他候〔宝徳三年本〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度至背仏意冥慮改悔之外無他候〔建部傳内本〕
御法談ノ之後常ニ可‖参拝仕ル|之旨相存シ候處ニ依テ‖公私ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令‖懈怠|之条越度ノ之至背ク‖仏意冥慮ヲ|改悔(ガイケ)之外無∨他候〔山田俊雄藏本〕
御法談之後チ常ニ可キ∨令∨参仕(シ)言上セ|之旨相イ存シ候之處ニ依テ∨公私?劇(ソウケキ)ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度之至リ背キ‖仏意(イ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイ )之外无ク∨他〔経覺筆本〕
御法談之後常ニ可∨令∨参仕(シ)言上|之旨相存候之處ニ依∨公私ノ?劇ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度ノ之至リ背(ソムク)‖仏意(フツイ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイケ)之外無ク‖他〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「仏意」と記載し、訓みは文明四年本に「フツイ」、経覺筆本に「(フツ)イ」と記載する。
佛意(ブツイ/ホトケ、コヽロ)[入・去] 。〔態藝門648八〕
佛意(ブツイ) 。〔言語門〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』と易林本『節用集』に標記語「佛意」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「佛意」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
佛意(ぶつい)冥慮(めうりよ)に背(そむ)き/背キ‖佛意冥慮ニ|。冥ハ奥(おく)深(ふかく)くして推はかられぬを云。冥慮とハ尊慮(そんりよ)賢慮(けんりよ)なといふこゝろなり。僧コなるゆへ冥の字を用ゆ。冥罰の冥の字と一義なるへし。言こゝろハ仏のこゝろにも師乃心にも背きたりと也。〔74オ八〜74ウ二〕
とあって、この標記語「佛意」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ。〔54オ七〜ウ五〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)。〔97ウ一〜98オ四〕
But-i.ブツイ(佛意) Fotoqeno cocoro.(仏の意) 仏(fotoqe)の意図,意志,あるいは,心.〔邦訳68l〕
懈怠(けだい)せ令(しむ)るの条(でう)/令ル‖懈怠セ|之条。懈怠ハ皆おこたると讀。給仕せさるをいえる也。〔74オ六・七〕
とあって、語注記に「懈怠は、皆おこたると讀む。給仕せざるをいえるなり」と記載する。
越度(おつど)之(の)至(いた)り/越度之至。越度ハ法にたかひたる事也。〔74オ七・八〕
とあって、語注記に「越度は、法にたがひたる事なり」と記載する。
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度之至背仏意冥慮改悔外無他候〔至徳三年本〕
御法談之後常可令參仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之條越度之至背佛意冥慮改悔之外無他候〔宝徳三年本〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度至背仏意冥慮改悔之外無他候〔建部傳内本〕
御法談ノ之後常ニ可‖参拝仕ル|之旨相存シ候處ニ依テ‖公私ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令‖懈怠|之条越度ノ之至背ク‖仏意冥慮ヲ|改悔(ガイケ)之外無∨他候〔山田俊雄藏本〕
御法談之後チ常ニ可キ∨令∨参仕(シ)言上セ|之旨相イ存シ候之處ニ依テ∨公私?劇(ソウケキ)ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度之至リ背キ‖仏意(イ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイ )之外无ク∨他〔経覺筆本〕
御法談之後常ニ可∨令∨参仕(シ)言上|之旨相存候之處ニ依∨公私ノ?劇ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度ノ之至リ背(ソムク)‖仏意(フツイ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイケ)之外無ク‖他〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「相存」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「相存」の語は未収載にあり、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「相存」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
相存(あいそん)し候之処/相存候之處此文段を返状の首段と并せ考ふるに過し比この入道侍者の寺にて住持の説法を聞し時深く仏法に帰依して常に住持の許にありて仏道の奥義を探ん。事を誓し事あるなるへし。然るに事の障りありて其誓ひも虚言となりしゆへそれを詫たる也。言こゝろハ御説法を承りし後つね/\御側にありて仏道の事承らんと思ひたりしにと也。〔74オ三〜六〕
とあって、この標記語「相存」の語を収載し、語注記は、その意味内容について上記の如く言及記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ。▲言上ハ下より上へ對(たい)して物(もの)申すをいふ。〔54オ七〜ウ五〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲言上ハ下より上へ對(だい)して物(もの)申すをいふ。〔97ウ一〜98オ四〕
言上(ジヤウ) 。〔元亀二年本232三〕
言上(コンシヤウ) 。〔静嘉堂本266八〕
言上 。〔天正十七年本中62オ七〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度之至背仏意冥慮改悔外無他候〔至徳三年本〕
御法談之後常可令參仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之條越度之至背佛意冥慮改悔之外無他候〔宝徳三年本〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度至背仏意冥慮改悔之外無他候〔建部傳内本〕
御法談ノ之後常ニ可‖参拝仕ル|之旨相存シ候處ニ依テ‖公私ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令‖懈怠|之条越度ノ之至背ク‖仏意冥慮ヲ|改悔(ガイケ)之外無∨他候〔山田俊雄藏本〕
御法談之後チ常ニ可キ∨令∨参仕(シ)言上セ|之旨相イ存シ候之處ニ依テ∨公私?劇(ソウケキ)ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度之至リ背キ‖仏意(イ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイ )之外无ク∨他〔経覺筆本〕
御法談之後常ニ可∨令∨参仕(シ)言上|之旨相存候之處ニ依∨公私ノ?劇ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度ノ之至リ背(ソムク)‖仏意(フツイ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイケ)之外無ク‖他〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、経覺筆本の古写本は、「言上」と記載し、山田俊雄藏本にはこの、「言上」の語は見えない。
謹(キン/ツゝシムデ)言上(ゴンジヤウ)[○。上・去]仕(ツカマツル/シ)[上] 。〔津部・態藝門420六〕
言上(ゴンシヤウ・カミ/ケン・イフ、ノボル・アカル)[平・上去] 。〔古部・態藝門674四〕
言上(ゴンジヤウ) 。〔弘・言語進退門189八〕
言上(ゴンジヤウ) ―便(ヒン)。〔永・言語門155四〕
言上(ゴンシヤウ) ―便。―語道断。〔尭・言語門145三〕
とあって、標記語「言上」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、
言上(ゴンシヤウ) 。〔言語門〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「言上」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「言上」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)/常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。常とハ品行也。參仕ハ給仕するを言。言上とハすべて目上(めうへ)なる人に物申すをいふなり。〔74オ一〕
とあって、この標記語「言上」の語を収載し、語注記は、「言上とは、すべて目上(めうへ)なる人に物申すをいふなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ。▲言上ハ下より上へ對(たい)して物(もの)申すをいふ。〔54オ七〜ウ五〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲言上ハ下より上へ對(だい)して物(もの)申すをいふ。〔97ウ一〜98オ四〕
Gonjo<.ゴンジャウ(言上) Mo<xi aguru.(申し上ぐる)貴人に話すこと.例,Gonjo< tcucamatcuru,l,toguru.(言上仕る,または,遂ぐる).〔邦訳307r〕
ごん-じゃう〔名〕【言上】上(かみ)に、申し上ぐること。宋史、顔師伯傳「詳考二政最一、以レ時言上」源平盛衰記、三十二、四宮御位事「軍士等の申状を以て、言上する計りなり」〔1551-5〕
參仕 。〔元亀二年本30四〕
參仕 。〔静嘉堂本30四〕
參仕 。〔天正十七年本上16オ四〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度之至背仏意冥慮改悔外無他候〔至徳三年本〕
御法談之後常可令參仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之條越度之至背佛意冥慮改悔之外無他候〔宝徳三年本〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度至背仏意冥慮改悔之外無他候〔建部傳内本〕
御法談ノ之後常ニ可‖参拝仕ル|之旨相存シ候處ニ依テ‖公私ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令‖懈怠|之条越度ノ之至背ク‖仏意冥慮ヲ|改悔(ガイケ)之外無∨他候〔山田俊雄藏本〕
御法談之後チ常ニ可キ∨令∨参仕(シ)言上セ|之旨相イ存シ候之處ニ依テ∨公私?劇(ソウケキ)ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度之至リ背キ‖仏意(イ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイ )之外无ク∨他〔経覺筆本〕
御法談之後常ニ可∨令∨参仕(シ)言上|之旨相存候之處ニ依∨公私ノ?劇ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度ノ之至リ背(ソムク)‖仏意(フツイ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイケ)之外無ク‖他〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「參仕」と記載する。
參仕(ハイデン/ヲガム、ヲクルヽ・トノ)[去・去] 。〔神祇門54一〕
參仕 。〔弘・天地門16八〕〔両・人倫門15一〕
參仕 。〔永・天地門15三〕〔尭・人倫門13三〕
とあって、標記語「參仕」の語を収載し、語注記に「」と記載する。また、易林本『節用集』には、
參仕 。〔乾坤門14五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「參仕」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「參仕」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)/常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。常とハ示行也。參仕ハ給仕するを言。言上とハすべて目上(めうへ)なる人に物申すをいふなり。〔74オ二〜三〕
とあって、この標記語「參仕」の語を収載し、語注記は、「參仕は、給仕するを言ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲參仕ハまいりつかふまつると訓(くん)ず。給仕(きうじ)の義也。〔54オ七〜ウ五〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲參仕ハまゐりつかふまつると訓(くん)ず。給仕(きふじ)の義也。〔97ウ一〜98オ三〕
Faiden.サンシ(參仕) .〔邦訳l〕
法談(ダン) 。〔元亀二年本42四〕〔静嘉堂本46四〕
法談(タン) 。〔天正十七年本上24オ四〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度之至背仏意冥慮改悔外無他候〔至徳三年本〕
御法談之後常可令參仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之條越度之至背佛意冥慮改悔之外無他候〔宝徳三年本〕
御法談之後常可令参仕言上之旨相存候之處依公私?劇令懈怠之条越度至背仏意冥慮改悔之外無他候〔建部傳内本〕
御法談ノ之後常ニ可‖参拝仕ル|之旨相存シ候處ニ依テ‖公私ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令‖懈怠|之条越度ノ之至背ク‖仏意冥慮ヲ|改悔(ガイケ)之外無∨他候〔山田俊雄藏本〕
御法談之後チ常ニ可キ∨令∨参仕(シ)言上セ|之旨相イ存シ候之處ニ依テ∨公私?劇(ソウケキ)ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度之至リ背キ‖仏意(イ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイ )之外无ク∨他〔経覺筆本〕
御法談之後常ニ可∨令∨参仕(シ)言上|之旨相存候之處ニ依∨公私ノ?劇ニ|令ル‖懈怠せ|之条越度ノ之至リ背(ソムク)‖仏意(フツイ)ノ冥慮(ミヤウリヨ)ニ|改悔(カイケ)之外無ク‖他〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「法談」と記載する。
法談(ホフダン/ノリ、カタル)[入・平] 。〔態藝門102二〕
法談(タン) 。〔弘・言語進退門35七〕 法談(ホウタン) 。〔両・言語門38四〕
法文(モン) ―會(エ)。―令(リヤウ)。―相(ホツサウ)。―用(ヨウ)。―家(ケ)。―華(ホツケ)。―門(モン)。―談(タン)。―條(デウ)。―樂(ラク)。―務(ム)。―式(シキ)。〔永・言語門34六〕
法文(ホウモン) ―會。―令。―用。―家。―華。―門/―談。―條。―樂。―務。―式。―衣/―流。〔尭・言語門31七〕
とあって、弘治二年本と両足院本に標記語「法談」の語を収載し、他本は、標記語「法文」の巻頭字「法」の熟語群として「法談」の語を記載する。また、易林本『節用集』には、
法談(ホウタン) 。〔乾坤門14五〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』、『運歩色葉集』、弘治二年本と両足院本『節用集』、易林本『節用集』などに標記語「法談」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
510御法談之後常ニ可∨令‖参仕言上|之旨相存候ノ処ニ依‖公私?劇ニ|令ル‖懈怠|之条越度之至リ背ク‖佛意冥慮ニ|改悔之外無ク‖他候。抑近日執‖行佛事大法会ヲ|之事候奉リ∨拝‖請(シヤウ)シ貴寺ノ長老ヲ|定メ‖申シ、當日ノ/ニハ唱導|度候 礼拝ハ釈迦成道ノ時拝ルコト不∨知也。色界ノ五那含天ノ主浄居天来テ佛堂ヲ右ニ統ルコト三度又御足ヲ礼スル也。佛ニハ三礼神ニハ再拝スル也。自リ∨此始也。〔謙堂文庫蔵四九左A〕
とあって、標記語「法談」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御法談(タン)之後常(ツネ)ニ可∨令ム‖參仕(サンシ)言上|之旨ヲ相(アイ)存候處ニ依テ‖公私(シ)ノ?劇(ソウゲキ)ニ|令ル‖懈怠(ケタイ)|之ヲ条越度(ヲツト)ノ之至(イタ)背(ソムキ)‖佛意冥慮(ミヤウリヨウ)|改悔(カイケ)ノ之外無ク‖他(タ)候。抑(ソモ/\)近日執(トリ)‖行ノ佛事大法會ヲ|事ニ候奉リ∨拝(ハイ)‖請シ 御法談トテ經論ヲ讃嘆スルナリ。〔下27オ一〕
御法談(ごほうたん)之(の)後(ゝち)/御法談之後。法談ハ仏道(ぶつたう)の事を講釈(かうしやく)するを云。談義(だんぎ)説法(せつほう)なとしいふにおなし。〔74オ一〕
とあって、この標記語「法談」の語を収載し、語注記は、「仏道(ぶつたう)の事を講釈(かうしやく)するを云ふ。談義(だんぎ)・説法(せつほう)などしいふにおなじ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ。▲法談ハ談義(だんぎ)説法(せつほふ)いづれも同じ。佛法(ぶつほふ)をときさとすをいふ。〔54オ七〜ウ五〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲法談ハ談義(だんぎ)説法(せつほふ)いつれも同し。佛法(ぶつほふ)をときさとすをいふ。〔97ウ一〜98オ三〕
Fo>dan.ホフダン(法談) 教法の説教.§Fo>danuo suru.(法談をする)教法の説教をする.Apostolo tachiua govoqiteuo gofo>dan nasareta.(アポストロたちは御掟を御法談なされた)アポストロ(Apostolos 使徒)たちは,デウス(Deos 神)の掟について説教なさった.〔邦訳256r〕
ほふ-だん〔名〕【法談】法義の談話。殊に、一向宗にて、信徒に、其宗旨の趣意を説き聽かすること。淨土宗にて、談義と云ひ、日蓮宗にて、説法と云ふ、皆同じ。法話。易林本節用集(慶長)上、言辭門「法談、ホフダン」庭訓往來、九月「御法談之後、常可レ令二參仕言上一之旨、云云」太平記、二、阿新殿事「この程常に法談なんどし給ひける僧來りて、葬禮形の如く取營み」〔1850-5〕
大内記(ナイキ) 唐名柱下(チウカ)内史。〔元亀二年本144一〕
大内記(ナイキ) 唐名柱下内史。〔静嘉堂本154七〕
謹上 大内記殿〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕〔山田俊雄藏本〕〔経覺筆本〕〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「謹上 大内記」と記載する。
大内記(ナイキ) 唐名内史桂下。〔弘・官名門100二〕
とあって、弘治二年本にのみ標記語「大内記」の語を収載し、語注記に「唐名、内史桂下」と記載する。また、易林本『節用集』には、
大内記(ダイナイキ) 。〔官位門〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』、弘治二年本『節用集』、易林本『節用集』にそれぞれに標記語「大内記」の語が収載されていて、語注記としてこの官位に相当する「唐名」が『運歩色葉集』と弘治二年本『節用集』に記載されていて、排列を逆にする他「柱下」と「桂下」の字形相似による異同が確認できる。古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語であるが、真字本『庭訓往来註』には、「唐名」の語注記はなされいない。
509謹上大内記殿〔謙堂文庫蔵四九左@〕
とあって、標記語「大内記」の語を収載し、語注記は未記載にする。
謹上 大(タイ)内記( イキ)殿(トノ)。〔下26ウ八〕
謹上 大内記(だいないき)殿/謹上 大内記殿。〔73ウ八〕
とあって、この標記語「大内記」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
謹上(きんじやう) 大内記(だいないき)殿(どの)/謹上 大内記。殿。▲大内記ハ相當(さうたう)正六位ノ上近代(きんだい)五位とす。唐名(からな)ハ柱下起居郎(ちうかききよらう)といふ。〔54オ五〜オ六〕
謹上(きんじやう) 大内記(だいないき)殿(どの)▲大内記ハ相當(さうたう)正六位ノ上近代(きんだい)五位とす。唐名(からな)ハ柱下起居郎(ちうかききよらう)といふ。〔97オ四〜五〕
だい-ない-き〔名〕【大内記】ないき(内記)の條を見よ。類聚三代格、五、大同元年七月廿一日太政官符「令レ定二内記四人一、大内記二人」〔1185-2〕
三位(イ) 曰二三品ト一。〔元亀二年本277五〕
三位(サンミ) 曰二三品ヲ一。〔静嘉堂本316八〕
八月十三日 左衛門尉〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕〔山田俊雄藏本〕〔経覺筆本〕〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本といった古写本には、この箇所をすべて「左衛門尉」と記載し、「散位長谷部」は未記載になっている。
三位(ミ) 。〔弘・官名門211一〕
とあって、弘治二年本に標記語「三位」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、
散位 。〔官位門〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「散位」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
508八月十三日 散位長谷部〔謙堂文庫蔵四九右H〕
とあって、ここで古写本とは異なる標記語「散位」の語を収載し、語注記は未記載にする。
八月十三日 左衛門尉。〔下26ウ七〕
八月十三日 左衛門(さへもん)の尉(ぜう)/八月十三日 左衛門尉。〔73ウ七〕
とあって、この標記語「散位」の語は、未収載にし、古写本と同じく「左衛門尉」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
八月(はちぐハつ)十三日(じふさんにち) 散位(さんゐ)長谷部(はせべ)/八月。十三日。 散位。長谷部。▲散位ハ位階(ゐかい)バかりにて官(くハん)なきをいふ。格別(かくべつ)の高貴(かうき)にても前官(ぜんくハん)の人ハやはり散位也。〔54オ四〜六〕
八月(はちぐハつ)十三日(じふさんにち) 散位(さんゐ)長谷部(はせべ)▲散位ハ位階(ゐかい)ばかりにて官(くわん)なきをいふ。格別(かくべつ)の高貴(かうき)にても前官(ぜんくわん)の人ハやはり散位なり。〔95ウ五〜96オ四〕
さん-み〔名〕【三位】〔三は、脣内音にて、さむなれば、(三郎(さむらう))む、ゐ、ガ、連聲にて、みと約まる(陰陽師(おんやうし)、おんみゃうじ)(一)くらゐ(位)の條の(二)寺院の兒(ちご)の卿名(キヤウミヤウ)。後には、小僧の稱ともしたりとおぼし。昨日は今日の物語(寛永)「御兒樣、久久、郷里に御遊びなさるるが、法印樣より、御見舞として、三位に、御文持たせて遣はさるる」女夫草「三位も春の、雪まどひせり」看經も、怠りがちな、寺住に」(俚言集覧、三位)〔0854-1〕
而已(ノミ) 。〔元亀二年本186九〕〔静嘉堂本211一〕〔天正十七年本中35オ一〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
耳 マクノミ/而止反。〔黒川本・辞字門中94ウ一〕
耳 マクノミ。〔巻第六・辞字門599六〕
礼ハ者敬(ケイ)而已(ノミナリ)矣孝經 。〔禮部・態藝門378五〕
而已 。〔言語門〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「而已」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
507致ス‖如在之儀ヲ|~感(カン)之興(ケウ)−厳重之態(ワサ)誠_以掲焉(カツエン/イチシルシ){アラタト云意也}也。耳目之所∨及不∨遑‖禿筆(トク)ニ|只仰‖高察|而已恐々謹言〔謙堂文庫蔵四九右E〕
とあって、標記語「而已」の語を収載し、語注記は未記載にする。
掲焉(ケツエン)也耳目(ジボク)ノ之所∨及不∨遑(イトマ)アラ‖禿筆(トクヒツ)ニ|只仰(アフク)‖高察(カウサツ)ヲ|而(ノミ)已。掲焉(ケツエン)トハ。アラタト云心也。掲焉(ケツエン)ト書テイチジルシトヨムナリ。〔下26ウ五・六〕
只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)/只仰‖高察ヲ|而已高察とハ御推量といふかことし。こゝに云こゝろハ耳に聞目に見及ひたる事つたなき手力にてつまひらかに書記(かきしる)す事ならねハよろしく推量して見わけられよとなり。〔73ウ四〜ウ六〕
とあって、この標記語「而已」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
Nomi.ノミ(のみ) 副詞.ただ…だけ.〔邦訳470r〕
のみ〔辭〕 第二類の天爾波。一ありて二なき意を示すもの。ばかり。「我のみ知る」善きをのみ取る」斯くのみあらば」漢籍讀には、文句の末に居て言切ることあり。而已。耳。名義抄「耳、ナラクノミ、マクノミ」~代紀、上41「今理ムルニ二此國ヲ一唯吾一身(ヒトリ)而已(ノミ)」允恭紀、八年二月「ササラ形、錦の紐ヲ、解キ開ケテ、アマタハ寐ズニ、唯一夜能未」萬葉集、十一38「あちの往(住カ)む、渚沙(すさ)の入江の、荒磯松、我(あ)をまつこらは、但一人(ひとり)耳(のみ)」躬恒集「秋立ちて、いつしかとのみ、まちしかど、あひてぬるよは、ただ一夜のみ」拾玉集、五「ことしさへ、花より雪に、なりにけり、なにともなくて、山里にのみ」心を盡すのみ」此の如きのみ」〔1541-4〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
高察(カウサツ/タカシ、アラワス)[平・入] 。〔態藝門275四〕
高察(カウサツ) 。〔弘・言語進退門86七〕
高名(カウミヤウ) ―聞(フン)。―覧(ラン)。―察(サツ)。―声(シヤウ)。―直(ヂキ)。―運(ウン)。〔永・言語門82五〕
高名(カウミヤウ) ―卑。―家/―下。―聞。―覧。―察/―声。―直。―運。〔尭・言語門74九〕
高名(カウミヤウ) ―聞。―覧。―察/―声。―直。―運。〔両・言語門90一〕
とあって、弘治二年本が標記語「高察」の語を収載し、他本は標記語「高名」の巻頭字「高」の熟語群として「高察」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
高察(カウサツ) 。〔言語門〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「高察」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
507致ス‖如在之儀ヲ|~感(カン)之興(ケウ)−厳重之態(ワサ)誠_以掲焉(カツエン/イチシルシ){アラタト云意也}也。耳目之所∨及不∨遑‖禿筆(トク)ニ|只仰‖高察|而已恐々謹言〔謙堂文庫蔵四九右E〕
とあって、標記語「高察」の語を収載し、語注記は未記載にする。
掲焉(ケツエン)也耳目(ジボク)ノ之所∨及不∨遑(イトマ)アラ‖禿筆(トクヒツ)ニ|只仰(アフク)‖高察(カウサツ)ヲ|而(ノミ)已。掲焉(ケツエン)トハ。アラタト云心也。掲焉(ケツエン)ト書テイチジルシトヨムナリ。〔下26ウ五・六〕
只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)/只仰‖高察ヲ|而已高察とハ御推量といふかことし。こゝに云こゝろハ耳に聞目に見及ひたる事つたなき手力にてつまひらかに書記(かきしる)す事ならねハよろしく推量して見わけられよとなり。〔73ウ四〜ウ六〕
とあって、この標記語「高察」の語を収載し、語注記は、「高察とは、御推量といふがごとし。こゝに云ふこゝろは、耳に聞、目に見及びたる事つたなき手力にてつまびらかに書記(かきしる)す事ならねばよろしく推量して見わけられよとなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
Co<sat.カウサツ(高察) Tacai suirio<.(高い推量) 推察.貴人について言う.〔邦訳151l〕
不(ス)レ遑(イトマアラ) 。〔元亀二年本12九〕
不(アラス)レ遑( マ) 。〔静嘉堂本5二〕
不(アラス)レ遑(イトマ) 。〔天正十七年本上4ウ八〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
不(ス)レ遑(イトマアラ) 遑ハ假也。〔言辭門156四〕
不(ズ/フウ)[平・去]レ遑(イトマアキヤラ/クワウ)[平] 。〔態藝門29八〕
不(ス)レ遑(イトマアラ) 。〔弘・言語進退門14六〕
不(ス)レ遑(イトマ)アラ 。〔永・言語門9五〕
不(ス)レ遑(イトマアラ) 毛挙――。〔尭・言語門7四〕
不(ス)レ遑(イトマアラ) 毛挙。〔両・言語門9三〕
とあって、標記語「不レ遑」の語を収載し、尭空本・両足院本の語注記に「毛挙――」という用例を記載する。また、易林本『節用集』には、標記語「不レ遑」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「不レ遑」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
507致ス‖如在之儀ヲ|~感(カン)之興(ケウ)−厳重之態(ワサ)誠_以掲焉(カツエン/イチシルシ){アラタト云意也}也。耳目之所∨及不∨遑‖禿筆(トク)ニ|只仰‖高察|而已恐々謹言〔謙堂文庫蔵四九右E〕
とあって、標記語「不レ遑」の語を収載し、語注記は未記載にする。
掲焉(ケツエン)也耳目(ジボク)ノ之所∨及不∨遑(イトマ)アラ‖禿筆(トクヒツ)ニ|只仰(アフク)‖高察(カウサツ)ヲ|而(ノミ)已。掲焉(ケツエン)トハ。アラタト云心也。掲焉(ケツエン)ト書テイチジルシトヨムナリ。〔下26ウ五・六〕
耳目(じもく)の及(およ)ふ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとま)あら不(ず)/耳目之所∨及不∨遑アラ‖禿筆ニ|。髪の毛の頂きを禿と云。禿筆とハ切れたる筆を云。前に鷹毫といふに同し。卑下乃詞也。〔73ウ三〜ウ四〕
とあって、この標記語「遑」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
‡Itoma aqi.イトマアキ(遑) →Quajo<ji;Tocufit.〔邦訳346r〕
いとま〔名〕【暇】〔暇(いと)の間(ま)の義〕(一){事のなき時。閑暇(ひま)。萬葉集、二十48「夜の伊刀末に、摘める芹これ」同、三20「滋賀の蜑は、藻刈鹽燒き、無暇(イトマナミ)、つげの小櫛を、取りも見なくに」字鏡一「暇、伊止万」(二){官人の、時を定めて暇を請ふこと。休暇を申請すること。賜暇。雄略紀、八年二月「高麗軍士一人、取リレ暇ヲ歸レリレ國ニ」宇津保物語、忠杜21「いとま許させ給はぬを、強ひて申して、あからさまに罷出ぬ」(三){官人の、喪中に、暇を賜はりて引籠り居ること。忌引(きびき)すること。假(け)とも云ふ。服假。宇津保物語、國讓、中12「御髪(みぐし)おろしたまひて、隱(かく)れたまひぬ、云云、かくて殿の公達、大殿(おとど)も、御いとまになりたまひぬれば、云云」(四){長く暇を請ふ意よりして、官人の、任を辭すること。辭職。致仕。奉公人の勤を止むるを、いとまを取ると云ふ。宇津保物語、樓上、下55「おほやけの事を物せず侍らむとて、院にいとま申し侍りしを」(五)罷り去ること。別れて往ぬること。平家物語、七、忠度都落事「さらば暇(いとま)申してとて、馬に打乘り、云云」(暇(いとま)乞(ごひ)すの敬語)「おいとま致します」(六)妻を離縁すること。「いとまを遣(や)る」〔0195-4〕
禿筆(トクヒツ) 。〔元亀二年本58三〕〔静嘉堂本66二〕〔天正十七年本上34オ一〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、唯一『運歩色葉集』に標記語「禿筆」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
507致ス‖如在之儀ヲ|~感(カン)之興(ケウ)−厳重之態(ワサ)誠_以掲焉(カツエン/イチシルシ){アラタト云意也}也。耳目之所∨及不∨遑‖禿筆(トク)ニ|只仰‖高察|而已恐々謹言〔謙堂文庫蔵四九右E〕
とあって、標記語「禿筆」の語を収載し、語注記は未記載にする。
掲焉(ケツエン)也耳目(ジボク)ノ之所∨及不∨遑(イトマ)アラ‖禿筆(トクヒツ)ニ|只仰(アフク)‖高察(カウサツ)ヲ|而(ノミ)已。掲焉(ケツエン)トハ。アラタト云心也。掲焉(ケツエン)ト書テイチジルシトヨムナリ。〔下26ウ五・六〕
耳目(じもく)の及(およ)ふ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)あら不(ず)/耳目之所∨及不∨遑アラ‖禿筆ニ|。髪の毛の頂きを禿と云。禿筆とハ切れたる筆を云。前に腐毫といふに同し。卑下乃詞也。〔73ウ三〜ウ四〕
とあって、この標記語「禿筆」の語を収載し、語注記は、「髪の毛の頂きを禿と云ふ。禿筆とは、切れたる筆を云ふ。前に腐毫といふに同じ。卑下の詞なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言▲禿筆ハちびふでと訓て卑下(ひげ)の詞(ことば)也。腐毫(ふがう)などいふと同じ。〔53オ八・53ウ六〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)▲禿筆ハちびふでと訓て卑下(ひげ)の詞(ことバ)也。腐毫(ふがう)などいふと同(おな)じ。〔95ウ五〜96ウ一〕
Tocufit.トクヒツ(禿筆) Chibifude.(禿び筆) すでに粗末になり,すり切れた穂先のついているペン〔筆〕.§Tocufitni atauazu.(禿筆に能はず)書くことができない,あるいは,ペン〔筆〕が先へ進むことができない.§Tocufitni itoma aqi arazu.(禿筆に遑あらず)同上.〔邦訳654r〕
とく-ひつ〔名〕【禿筆】(一)先のすりきれたる筆。ちびふで。きれふで。ふるふで。敗筆。禿毫。杜甫詩「戲拈二禿筆一掃二??一、?(タチマチ)見二麒麟一出二來壁一」歐陽元圭、敗筆詩「秋拈二禿筆一如二愚慵一、曾爲二雲烟一掃二墨松一」釋惠洪詩「禿筆時呵レ凍」(二)己れの用ゐる筆の謙稱。庭訓往來、八月「不レ遑禿筆」〔1399-2〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
驚(ヲドロカス/ケイ)[平]二耳目(ジボク/ミヽ、メ)[上・入]一 。〔態藝門976六〕
耳目(シホク)ハ為(ナス)レ患(ウレイ)ヲ口舌(コウぜツ)ハ為(ナス)レ禍(ワザワイ)ヲ故(カルガユヘ)ニ君子(クンシ)ハ以(モツ)テレ慎(ツヽシム)ヲ為(シ)レ宗(ムネ)ト以(モツ)テレ恐(ヲソルヽ)ヲ為(ス)レ門(モン)ト養生。〔態藝門976六〕
また、易林本『節用集』には、
耳目(ジボク) 。〔言語門〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』及び易林本『節用集』に標記語「耳目」の語が収載され、訓みを「ジボク」として、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
507致ス‖如在之儀ヲ|~感(カン)之興(ケウ)−厳重之態(ワサ)誠_以掲焉(カツエン/イチシルシ){アラタト云意也}也。耳目之所∨及不∨遑‖禿筆(トク)ニ|只仰‖高察|而已恐々謹言〔謙堂文庫蔵四九右E〕
とあって、標記語「耳目」の語を収載し、語注記は未記載にする。
掲焉(ケツエン)也耳目(ジボク)ノ之所∨及不∨遑(イトマ)アラ‖禿筆(トクヒツ)ニ|只仰(アフク)‖高察(カウサツ)ヲ|而(ノミ)已。掲焉(ケツエン)トハ。アラタト云心也。掲焉(ケツエン)ト書テイチジルシトヨムナリ。〔下26ウ五・六〕
耳目(じもく)の及(およ)ふ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)あら不(ず)/耳目之所∨及不∨遑アラ‖禿筆ニ|。髪の毛の頂きを禿かと云。禿筆とハ切れたる筆を云。前に腐毫といふに同し。卑下の詞也。〔73ウ三〜ウ四〕
とあって、この標記語「耳目」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
Iibocu.ジボク(耳目) Mimi,me.(耳,目)耳と目と.例,Fito mina jibocuuo vodorocasu.(人皆耳目を驚かす)皆が驚嘆する,または,驚嘆した.※Feiqe,P96.〔邦訳359r〕
じ-もく〔名〕【耳目】みみと、めと。聞くと、見ると。書經、冏命篇「爾無下昵二于鯵人一、充中耳目之官上」史記、張耳傳「趙人多下爲二耳(張耳)餘(陳餘)耳目一者上」同、魏其武安侯傳「武安吏、皆爲二耳目一」源平盛衰記、九、山門堂塔事「玄奘三藏、云云、一十七年を經巡りけるに、耳目、見聞、三百六十箇國」「世の耳目を驚かす」〔0957-1〕
誠(マコト)。寔(同)。真(同)。固(同)。〔元亀二年本211一〕
誠(マコト)。/○/寔(マコト)。真(同)。實(同)。固(同)。〔静嘉堂本240五、七〕
誠(マコト)。寔(同)。真(同)。實(同)。固(同)。〔天正十七年本中49ウ一〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
實 マコト/神質反。誠(せイ) 云成。真(シン)良固……勅命已上實也。〔黒川本・人事門中91オB〕
誠 マコト/―信也。〔巻第六・人事門568C〕
真(マコト/シン)[平]。實(同/ジチ)[入]。嚼(同/チン)[平]。忱(同/チン)[平]。信(同/シン・ノブ)[去]。誠(同/せイ)[平]。苟(同/コウ・イヤシ)[○] 。〔態藝門587一〕
真(マコト)。實(同)。信(同)。誠(同)。寔(同)。〔弘・言語進退門170四〕
真(マコト) 信。実。誠マレナリ/寔シヨク。〔永・言語門140五〕
真(マコト) 信。實/誠。寔。〔尭・言語門129八〕
とあって、標記語「誠」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、
誠 。〔言語門〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「誠」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
507致ス‖如在之儀ヲ|~感(カン)之興(ケウ)−厳重之態(ワサ)誠_以掲焉(カツエン/イチシルシ){アラタト云意也}也。耳目之所∨及不∨遑‖禿筆(トク)ニ|只仰‖高察|而已恐々謹言〔謙堂文庫蔵四九右E〕
とあって、標記語「誠」の語を収載し、語注記は未記載にする。
如在(サイ)之儀(ギ)ヲ|神感(カン)之興(ケウ)嚴重(ケンテウ)之態(ワザ)誠(マコトニ)_以テ如在(ジヨサイ)ト云ハ。物ニヨリテ違(タカウ)ベシ如在トハ。マシマス如クトヨメリ。論語ニ云ク。祭神(サイジン)ニハ。如在神ト云リ。凡(ヲヨソ)神ハ宜々トテ。主ナシ。明家ノ様ニ人思ヘリ。古ハ此神立殿ヲ作リ住給シ時ウヤウヤシクサ申ス計(ハカリ)モナシ其時ノヲハシマせシ様ニせヨトテ如在ノ儀トハ云也。此神ハ内ニ御座(マシマ)スヨト打恐(ウチヲソ)ルヽ心ヲ如在ト申也。今時ハ疎畧(ソリヤク)ヲスルヲ如在ト云僻事(ヒガコト)ナリ。此詞(コト)ハ神ニ付テノ詞ナリ。〔下26ウ二〜五〕
誠(まこと)に以(もつて)て掲焉(けちえん)(けつゑん)也/誠以掲焉也。掲焉とハ形容の詞也。詩経(しきやう)に葭?(かたん)掲々(けつ/\)たりしといふ事あり。注に掲々ハ長(ちやう)也といえり。葭(はたかき)?(はたあし)なとののひ/\として盛んなるをいえるなり。掲焉といふも是と一義にて~感厳重のりゝしく盛んなるを形容したるなり。こゝにて御参詣の振舞ハ説(とき)終(おハ)りたり。〔73オ八〜ウ二〕
とあって、この標記語「誠」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
Macoto.マコト(実) 真実.〔邦訳377l〕
まこと-に〔副〕【實・眞・誠】僞り無く。ほんたうに。實(げ)に。實(じつ)に。孟子、公孫丑、上篇「孟子曰、子誠齊人也、知二管仲晏子一而已矣」陶潜、歸去來辭「知二來者之可一レ追、實迷レ塗、其未レ遠」韓愈、雜説、四「天下無レ馬、嗚呼其眞無レ馬邪、其眞不レ知レ馬也」~代紀、上20「是時、保食~實(マコトニ)已死矣」〔1887-1〕
嚴重(げんぢう)之(の)態(わざ)/厳重之態其さまいかにも重(おも)/\敷て人の尊敬(そんけう)するをいふ。〔73オ七〜八〕
興 。〔元亀二年本30四〕
興 。〔静嘉堂本30四〕
興 。〔天正十七年本上16オ四〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
興ケウス。〔黒川本・辞字門中98オB〕〔巻第七・辞字門13六〕
催(モヨヲシ/サイ)レ興(キヨウヲ)乘(ジヨウス)レ興ニ[平・○・平去・○] 。〔態藝門832八〕
このように、上記当代の古辞書においては、三卷本『色葉字類抄』(1177-81年)と十巻本『伊呂波字類抄』、広本『節用集』と『伊京集』などに標記語「興」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
507致ス‖如在之儀ヲ|~感(カン)之興(ケウ)−厳重之態(ワサ)誠_以掲焉(カツエン/イチシルシ){アラタト云意也}也。耳目之所∨及不∨遑‖禿筆(トク)ニ|只仰‖高察|而已恐々謹言〔謙堂文庫蔵四九右E〕
とあって、標記語「興」の語を収載し、語注記は未記載にする。
如在(サイ)之儀(ギ)ヲ|神感(カン)之興(ケウ)嚴重(ケンテウ)之態(ワザ)誠(マコトニ)_以テ如在(ジヨサイ)ト云ハ。物ニヨリテ違(タカウ)ベシ如在トハ。マシマス如クトヨメリ。論語ニ云ク。祭神(サイジン)ニハ。如在神ト云リ。凡(ヲヨソ)神ハ宜々トテ。主ナシ。明家ノ様ニ人思ヘリ。古ハ此神立殿ヲ作リ住給シ時ウヤウヤシクサ申ス計(ハカリ)モナシ其時ノヲハシマせシ様ニせヨトテ如在ノ儀トハ云也。此神ハ内ニ御座(マシマ)スヨト打恐(ウチヲソ)ルヽ心ヲ如在ト申也。今時ハ疎畧(ソリヤク)ヲスルヲ如在ト云僻事(ヒガコト)ナリ。此詞(コト)ハ神ニ付テノ詞ナリ。〔下26ウ二〜五〕
~感(しんかん)之(の)興(きやう)/~感之興神の感恋し玉ふを云。〔73オ七〕
とあって、この標記語「興」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
Qeo>.l,qio>.ケゥ.または,キョゥ(興) 愉快,興味,など.例,Qeo>uo moyouosu.(興を催す)おもしろさや愉快さをそそる.§Quangue~no qeo>ni jozuru.(管弦の興に乗ずる)音楽のおもしろさや興趣にうっとりとなる.§Qeo>uo samasu.(興を覚ます)おもしろさや興趣をしらけさせる.§Qeo> samegauoni naru.(興醒め顔になる)外面・表情が,味気ない,つまらなそうな,あるいは,あっけにとられた様子になる.§Qeo>gatta cotouo yu<.(興がつた事を言ふ)突飛なことを言う.§Qeo>garimono.l,qeo>gatta fito.(興がり者.または,興がつた人)風変わりで突飛な人.※jo>zuruの誤り.→Qio>(興).〔邦訳487r〕
‡Qio>.キョゥ(興) →Io>ji,uru;Qeo>(興);Zaqio>.〔邦訳500r〕
けう(キヨウ)〔名〕【興】〔興の字の音は、キョウなるを、平假名文には、多く、けうと書けり、清(きよ)らをけうらと書く類なるべし〕興(キヨウ)に同じ。其條を見よ。〔0602-2〕
きょう〔名〕【興】〔古き假名文に、多くは、けうと記せり〕遊びの面白み。遊戲の樂しさ。晉書、王徽之傳「本乘レ興而來、興盡而反、何必見二安道一」宇津保物語、初秋、上1「左大將殿へや參でまし、それは、内内はまさりて、けうは多からむ」同9鳥を射る所「中らぬものゆゑ、鳥起ちなば、興醒めなむ」同、吹上、上1「けうある、をかしからむ野邊に、小鷹入れて見ばや」〔0499-1〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「~感」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。古辞書では、近世の『書言字考節用集』に「~感」〔第三冊神祇・シ27六〕とあるのが最初の収載となっている。
507致ス‖如在之儀ヲ|~感(カン)之興(ケウ)−厳重之態(ワサ)誠_以掲焉(カツエン/イチシルシ){アラタト云意也}也。耳目之所∨及不∨遑‖禿筆(トク)ニ|只仰‖高察|而已恐々謹言〔謙堂文庫蔵四九右E〕
とあって、標記語「~感」の語を収載し、語注記は未記載にする。
如在(サイ)之儀(ギ)ヲ|神感(カン)之興(ケウ)嚴重(ケンテウ)之態(ワザ)誠(マコトニ)_以テ如在(ジヨサイ)ト云ハ。物ニヨリテ違(タカウ)ベシ如在トハ。マシマス如クトヨメリ。論語ニ云ク。祭神(サイジン)ニハ。如在神ト云リ。凡(ヲヨソ)神ハ宜々トテ。主ナシ。明家ノ様ニ人思ヘリ。古ハ此神立殿ヲ作リ住給シ時ウヤウヤシクサ申ス計(ハカリ)モナシ其時ノヲハシマせシ様ニせヨトテ如在ノ儀トハ云也。此神ハ内ニ御座(マシマ)スヨト打恐(ウチヲソ)ルヽ心ヲ如在ト申也。今時ハ疎畧(ソリヤク)ヲスルヲ如在ト云僻事(ヒガコト)ナリ。此詞(コト)ハ神ニ付テノ詞ナリ。〔下26ウ二〜五〕
~感(しんかん)之(の)興(きやう)/~感之興神の感恋し玉ふを云。〔73オ七〕
とあって、この標記語「~感」の語を収載し、語注記は、「神の感、恋し玉ふを云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
しん-かん〔名〕【~感】~の感じたまふこと。感通すること。古文孝經、應感章、疏「~感二至誠一、而降二福佑一」古今著聞集、四、文學、江匡房「~感の餘りに、天~、御詠吟有けるにこそ」〔0937-3〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
如在(ジヨサイ) 此ノ二字即チ尊敬(ソンケイ)ノ之義ナリ也 然ルニ日本ノ之俗書状ニ云フ不ストレ存ぜ二如在ヲ一 大ニ失ス二正理ヲ一也 論語ニ曰ク祭(マツル)コト如クスレ在( マス)ガ祭ルニレ神ヲ如クスト二神ノ在( マス)ガ一云々 可シレ思フレ之ヲ也。〔言辭門154四〕
如在(シヨサイ/ゴトシ、アル)[平・上去] 此二字ハ即チ尊敬(ソン )義也。然ルヲ日本ノ世俗書?ニ云不レ存二如在ヲ一。大ニ失フ二正理ヲ一者也。論語ニ曰祭( リ)ニハ如クスレ在( マス)カ祭レ神如二神ノ在一云レ可レ思レ之也。〔態藝門973五〕
如在(ジヨサイ) 此二字ハ即尊敬(ソンキヤウ)之義日本ノ俗ノ状ニ云不レ存二如在ヲ一。大ニ失二正理一。〔弘・言語進退門248八〕
如在(ジヨサイ) 此二字即尊敬之義也。然日本俗状云不レ存――ヲ。大失正理也。侖吾云祭添―レ―祭レ神如二神ノ在カ一云云可思之。〔永・言語門211七〕
如在(シヨサイ) 此字即尊敬之義日本俗状云不存――大失二正理一也侖吾云祭添―レ―祭レ神如二神ノ在カ一云 々可レ思レ之。〔尭・言語門195七〕
とあって、標記語「如在」の語を収載し、語注記は『下學集』を継承していて、多少省略して異なるが「此の二字即ち、尊敬の義なり。日本の俗状に云ふ「如在を存ぜず」と大いに正理を失すなり。『論語』に云く、「祭こと在ますが如く神を祭るに神の在ますが如くす」と云々、之れを思ふべし」と記載する。そのなかでも弘治二年本は、後半部の典拠である『論語』の引用を省略して記載している。また、易林本『節用集』には、
如在 。〔言辞門〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「如在」の語が収載されているなかで、なぜか『運歩色葉集』だけが此の語を未収載としていることに気づく。て、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
507致ス‖如在之儀ヲ|~感(カン)之興(ケウ)−厳重之態(ワサ)誠_以掲焉(カツエン/イチシルシ){アラタト云意也}也。耳目之所∨及不∨遑‖禿筆(トク)ニ|只仰‖高察|而已恐々謹言〔謙堂文庫蔵四九右E〕
とあって、標記語「如在」の語を収載し、語注記は未記載にする。
如在(サイ)之儀(ギ)ヲ|神感(カン)之興(ケウ)嚴重(ケンテウ)之態(ワザ)誠(マコトニ)_以テ如在(ジヨサイ)ト云ハ。物ニヨリテ違(タカウ)ベシ如在トハ。マシマス如クトヨメリ。論語ニ云ク。祭神(サイジン)ニハ。如在神ト云リ。凡(ヲヨソ)神ハ宜々トテ。主ナシ。明家ノ様ニ人思ヘリ。古ハ此神立殿ヲ作リ住給シ時ウヤウヤシクサ申ス計(ハカリ)モナシ其時ノヲハシマせシ様ニせヨトテ如在ノ儀トハ云也。此神ハ内ニ御座(マシマ)スヨト打恐(ウチヲソ)ルヽ心ヲ如在ト申也。今時ハ疎畧(ソリヤク)ヲスルヲ如在ト云僻事(ヒガコト)ナリ。此詞(コト)ハ神ニ付テノ詞ナリ。〔下26ウ二〜五〕
如在(ぢよざい)之儀を致す/致ス‖如在之儀ヲ|。神楽乃拍子といひ賽礼の侍物といひ神のこゝに出現してましますかことく思ハるゝとなり。如在の字ハ論語に出たり。神を祭る事神のいますか如くすといえる。詞によりて書しなり。〔73オ五〜オ七〕
とあって、この標記語「如在」の語を収載し、語注記は、「如在の字は、『論語』に出でたり。神を祭る事、神のいますが如くすといえる。詞によりて書きしなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言▲如在とハ誠心(まごゝろ)を以て祭(まつ)るの義也。論語(ろんご)に祭(まつり)如(ごとくす)レ在(いますが)祭(まつること)レ~(かミを)如(ごとくす)二~(かミ)在(いますが)一とあるより出(いで)たる詞(ことば)。〔53オ八〜ウ五・六〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)▲如在とハ誠心(まごゝろ)を以て祭(まつ)るの義(ぎ)也。論語(ろんご)に祭(まつること)如(ごとくす)レ在(いますが)祭(まつること)レ~(かミを)如(ごとくす)二~(かミ)在(いますが)一とあるより出(いで)たる詞(ことバ)。〔95ウ五・96オ五〜七〕
Iosai.ジョサイ(如在) 人をそれぞれの階級と才能に応じて尊重し,または,心に留めること.文書語.ただし,話し言葉では,反対の意味に取られる.例,Iosaini xenu,l,vomouanu.(如在にせぬ,または,思はぬ)おろそかには思わない,あるいは,それ相応に尊重することをおろそかにはしない.§Iosaimo gozaranu.(如在もござらぬ)それ相応の礼儀を欠くとか,おろそかにするとかいうことはない.→次条.〔邦訳369r〕
†Iosai.ジョサイ(如在) 失策,手落ち,あるいは,不注意.→Iozai.〔邦訳369r〕
†Iozai.l,josai.ジョザイ.または,ジョサイ(如在) 失策,あるいは,手落ち.〔邦訳370l〕
じよ-さい〔名〕【如在】〔~、在すが如しの意にて、怠らぬ心、如在なしと云ふ語、出來たるは、みな(無く)になる、不慮(の外に)に人を傷くの類〕(一)~を祭るに、~の在すが如く、敬ひ謹みて、すること。論語、八?篇「祭如レ在、祭レ~如二~在一」貞永式目「如在禮奠」(二)轉じて、懈怠、或は、疎略の意。武野獨談、廿九「天下の民の宗旨は、八宗、十宗、一樣ならず、然れども、諸宗に如在せずして、立置くやうにして、諸の衆生を餘さば導するが如き、云云」岩淵夜話、別集、三、酒井金三郎、原吉丸に、草履を取て、はかす「金三郎、云云、昔の主の子に、如在をせぬは、奇特なる心ばせなり」丹波與作(寶永、近松作)上「夫の事、我子の事、母に如在が有るものか」(三)慥かなる意に云ふ。但馬地方にて「金を預けても、あの人ならば、如在ない」(四)惡意の義。足利時代の文書に「決して如在を存ぜず候」〔1013-4〕
賽(カヘリマウシス) 。〔元亀二年本106四〕〔静嘉堂本133六〕〔天正十七年本上65ウ一〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
賽(サイ)カヘリマウシ。〔黒川本・辞字門上86ウE〕
賽カヘリマウシス 。〔巻第三・辞字門264四〕
返申(カヘシマウス、ヘンシン)[上・平] 。〔態藝門289六〕
賽(カヘリマウシス) 。〔弘・言語進退門82八〕〔永・言語門85六〕〔尭・言語門77五〕〔両・言語門93五〕
とあって、標記語「賽」の語を収載し、訓みは、「かへりまうしす」と記載する。語注記は未記載にする。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「賽」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
506調ヘ‖拍子ノ本末|賽(カヘリモウシ)ス‖礼奠ニ|賽ハ奉∨拝義也。神申亊御聞有也ト云テ礼奠スル也。奠ハ神供也。七夕ニ乞巧奠ト云モ供具ヲ祭ヲ云也。又備星疋(ヒコホシ)ノ祭ヲ云。礼記ニ曰、釈奠学‖鄭氏註曰、釈∨藥ヲ奠∨幤云々。又幤帛ヲ以祭ヲ曰‖礼奠(テン)ト|。是質素ノ祭也。文集曰、悟真寺ノ詩ニ戯奠无‖葷幃|。言ハ葷ハ精進之腥物也。〔謙堂文庫蔵四九右C〕
とあって、標記語「賽」の語を収載し、語注記は、「賽は、拝を奉ずる義なり。神の申す亊御聞くに有るなりと云ひて礼奠するなり」と記載する。
賽(カヘリマウシ)ト云事ハ。先規(キ)ヨリ有ル様一ツモ不レ違(タガヘ)ト云心ナリ。〔下26オ八〜ウ一〕
賽礼(さいれい)の奠/賽礼ノ奠。賽ハかえりもふしともむくふとも讀。神の徳に報ひ奉るを云也。奠ハ物をそなふる事なり。〔73オ三〜オ四〕
とあって、この標記語「賽」の語を収載し、語注記は、「賽は、かえりもふしとも、むくふとも讀む」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言▲賽ハ神(かミ)に立願(りふぐハん)して報謝(ほうしや)するをいふ。カヘリマヲシと訓ず。〔53オ八〜ウ五〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)▲賽ハ神(かミ)に立願(りふぐわん)して報謝(はうしや)するをいふ。カヘリマヲシと訓ず。〔96オ六〕
†Cayerimo<xi.カヘリマウシ(返申・賽) かけた誓いを履行すること〔願ほどき〕.文書語.〔邦訳115l〕
かへり-まうし〔名〕【還申】(一)使命を奏聞すること。(かへりごと(返言)の條の(一)を見よ)復奏。江家次第、十五、踐祚大甞會「天皇還二廻立殿(クワイリフデン)一之後、采女進二南ノ戸ノ下一申云、阿佐米主水(もひとり)、夕暁(ゆふあかつき)の御膳(おもの)、平かに供奉(そなへたてまつり)つと申」(これを、采女還申(かへりまうし)の奏と云ふ)續古今集、九、離別「長奉送使(チヤウブソウシ)にて罷りくだりて、かへりまうしの暁」(二){~に祈願して、報謝すること。おれいまゐり。報賽。名義抄「賽、カヘリマウシ」宇津保物語、藤原君25「よろづの~たちに、かへりまうしの幣帛(みてぐら)奉らむとて、河原に出でたまひて」年中行事歌合(貞治)月次祭「夏の暮れ、年の終りの、月毎のかへりまうしの、~の幣帛(みてぐら)」〔0412-1〕
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