2023年度経済学部奨学論文受賞者の研究報告
2023年度経済学部奨学論文において佳作を受賞した門井大和さんによる研究報告です。
論文タイトル:
日本の水産物流通における仲卸の必要性について ?仲卸の電子商取引導入に向けて?
門井大和
(テーマ選定理由)
私の祖父は水産部門の仲卸を営んでおり、東京都中央卸売市場の1つである豊洲市場と築地場外市場に「京富」という店を構えている。「京富」は江戸時代から続く老舗で、豊洲市場の数多くある店の中でも古い歴史を持つ。
仲卸は、市場流通のなかで卸売市場と小売店や飲食店などを繋ぐ役割を担ってきた。しかし、近年の電子商取引や相対取引の発達?展開などにより、卸売市場を介さない水産物の取引方法も増えてきており、苦戦を強いられている。
このような経緯から、どうすれば仲卸の減少を食い止められるか、これからの仲卸の在り方について検討したいと考えた。
(研究結果)
仲卸は減少傾向にあるものの、一定の取扱量を現在でも保持していることをもって存在意義を説明しようとする人は多い。しかし、重要なのは必要だから一定以上保持されているということである。
仲卸は小売店や、お寿司屋さんに、注文を受けた新鮮な魚を卸すことだけが仕事ではなく、その日その日に水揚げされる新鮮な魚の中から、その店にあった魚を選び、いい魚が入った時にはいち早く教え、そのお店のグレードを保っている。
仲卸の生き残り策として、仲卸による電子商取引の導入が必要不可欠であると考えた。販売方法の違いによって、水産物電子商取引は、大きく自社サイト型とプラットフォーム型の2つに別れる。仲卸は、自社サイト型とプラットフォーム型の電子商取引のなかから、自社の強みを活かせる方を選択し活用することが重要である。
仲卸による電子商取引の導入は高齢化が進んでいる仲卸にとって容易なことではない。しかし、時代の変化とともに人々の消費行動も変化していく。仲卸の必要性が再確認されて、生き残っていくためには、仲卸の在り方も変化させていく必要があるのではないか、という結論に至った。