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SF映画で学ぶインタフェースデザイン : アイデアと想像力を鍛え上げるための141のレッスン

眼横鼻直(教員おすすめ図書)
Date:2022.08.01

書名 「SF映画で学ぶインタフェースデザイン : アイデアと想像力を鍛え上げるための141のレッスン」
著者  Shedroff, Nathan、Noessel, Christopher
訳者 赤羽 太郎、安藤 幸央
出版社 丸善出版
出版年 2014年7月
請求番号 007.6/351
Kompass書誌情報

私はSF(サイエンスフィクション)が大好きで、よく映画館でSF映画を見ます。SF映画には、未来や異星の技術で作られた機械?機器が数多く登場し、斬新で魅力的な、時には恐ろしい、印象的なインタフェースが見られます。インタフェースとは、機械やコンピュータと人のなかだちをする部分のことです。例えば、マイノリティ?リポート(2002)には、半透明の情報ウインドウを空中に多数投影し操作する拡張現実インタフェースが登場します。マトリックス(1999)には、鋭利なプラグを人の後頭部の穴に差し込むことで人間の脳を仮想世界に接続する脳インタフェースが登場します。強烈な印象を受けるインタフェースの例です。

この本は、上記のようなインタフェースを単に見て楽しむだけでなく、真面目にデザインとして分析し現実世界のインタフェースデザインの参考にしてしまおう、というものです。若干おふざけ的な試みではあり、SFファンである著者らがいろいろな映画のインタフェースにツッコミをいれていくのを読むのは、純粋に面白い内容です。しかし同時に、著者らは本職のプロダクトデザイナー?インタラクションデザイナーでもあり、彼らの指摘するインタフェースのメリット?デメリットや修正点は、本当にデザインの参考になります。例えば、マイノリティ?リポートの半透明ウインドウは、数多く重なると見づらい恐れがありますが、重要な情報を比較的不透明にして強調することに使えます。

本書は、フィクションの世界を現実的に検討するという、ある意味野暮な試みをあえてやることで、楽しみながら現実世界をより良くする示唆を得ようという、興味深い本だと思います。

参考
スティーヴン?スピルバーグ監督. マイノリティ?リポート. トム クルーズ出演. 2002
アンディ?ウォシャウスキー, ラリー?ウォシャウスキー監督. マトリックス. キアヌ?リーブス出演. 1999

グローバル?メディア?スタディーズ学部 講師 青柳 西蔵

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