経済学部の吉田健太郎ゼミが地域活性化イベントを大阪府?堀江で開催

Date:2024.12.20 研究?授業
総務部 総務広報課

11月17日(日)、経済学部の 吉田 健太郎 ゼミが大阪府?堀江の萬福寺境内に位置する「寺カフェ茶庭」と共同して地域活性化イベント「みんなでつくるお寺の秋まつり」を実施しました。

このイベントは、地域活性化の研究の一環として「関係人口」に着目したものです。「関係人口」とは、交流人口(その地域に訪れる人々)と定住人口(その地域に住んでいる人々)の間に位置する人々を指し、地域と多様な関わり方を持ちながら応援する人々を意味します。
様々な先行研究でも地域の人々が自発的に活動を継続する仕組みが未だに解明されていない中、今回のイベントは、地域活性化を担う人々が楽しみながら地域で交流を深めることを目的とした「お祭り」として企画されました。

吉田健太郎ゼミでは2年生から地域活性化の研究を行っており、「寺カフェ茶庭」のチームは2022年度の夏に「寺カフェ茶庭」のオーナーである 石田 奈津子 さんと出会い、共に地域活性化プロジェクトを行なう運びとなりました。

企画段階では、現地調査として「寺カフェ茶庭」の近隣住民約200件へのアンケートを実施し、対面での交流機会が減少していることや、住民の多くが対面での交流を望んでいることが分かりました。また、聞き取り調査からも「子どもたちとの交流が減った」などといったコミュニティの衰退が見えてきました。

東京と大阪間の距離がある中で石田さんとのオンライン会議を重ねながら、2024年3月に第1回目のお祭りを開催しました。イベントでは、焚き火や夜市に通りがかりの方も加わるなど、参加者同士の交流が図られたほか、ライブイベントなどの活動も実現しました。イベントの開催は、地域の方々を関係人口として巻き込むだけではなく、運営者にもポジティブな影響を及ぼす、双方向のメリットがあることが分かりました。

得られたフィードバックや新たなつながりを基にイベントを改善し、2024年11月、第2回目のイベントを実施しました。1度目の経験を経てボランティア活動に積極的になった方も多く、地域活性化に対する意識や「お寺」との関わり方などにおいて、運営や参加者の方々に様々な変化が起こりました。

各イベントで100人以上の参加者を集め、イベントを通じて地域の魅力を再発見し、自発的な活動が実現されました。「人間関係の希薄化」という定量的に測れない課題について、「交流学習実践の場」の場としてお祭りを設けることで、関係人口になれる人を増やし、定住人口や新たな定住になり得る交流人口を巻き込むことができました。さらに、そのイベントの要素として「自己実現ができること」「安心安全であること」「多世代の交流があること」が明らかになりました。

ゼミ活動を通じて、関係人口の創出に結びつくコミュニティの再生に向けた大きな一歩となりました。

新井 雄己 さん(経済学部現代応用経済学科4年)コメント

私自身、地元での繋がりがそれぞれの進路に進むにつれて減ってしまい、少し寂しさを感じていました。イベントを開催し、普段は話す機会のない小学校低学年の子どもたちや地域の方々と話す中で、消えつつある対面でのコミュニティの重要性を改めて実感しました。全国各地でこうしたイベントが開催され、繋がりが増えることで、防災など多方面においてもポジティブな影響があると感じました。この経験を今後に活かしていきたいと思います。

自分自身も、子どもの頃は、地元の公園にボールを持って集まり遊んでいましたが、今では子どもたちからもオンラインゲームなどで繋がるといった話を聞きます。便利になった一方で、インドア志向が強まり、地元のお祭りの参加率も減少しています。私達もこうした機会がなければ行動を起こせなかったと思いますが、皆が内に秘めているやりたいことがあると思うので、ぜひ後輩たちや次世代を担う子どもたちには行動に移すというモチベーションを大事にしてほしいと思います。

柳田 詩音 さん(経済学部経済学科4年)コメント

イベントの企画?実施は本当に貴重な経験でした。大変なこともたくさんありましたが、終わってしまうのは少し寂しいです。今後も大阪を訪れる際に「寺カフェ茶庭」が立ち寄れる場所であるといいなと思います。

私自身、アルバイト先でのお客様との会話からも、どの世代の人々も誰かと関わりたいという気持ちを持っていることが感じられます。関係が希薄になっている現代だからこそ、こうしたイベントの意義が大きいのだと思います。

ゼミの後輩や参加してくださった地域の子どもたちがこのイベントをきっかけに活動を始めたり、「寺カフェ茶庭」を安心安全な場所として利用したりすることができれば、本当に嬉しいですね。お祭りの形にこだわらず、本当にやりたいことが自発的にできる場所として、地域の人々が自然と繋がり、暮らしやすい環境がつくられるのであれば、それ以上に願うことはないと思います。

山本 果苗 さん(経済学部現代応用経済学科4年)コメント

都会には冷たいイメージがあって、人はたくさんいるのに、近所付き合いのような温かさがなくなっていると感じていました。しかし、このイベントを通じて、すごく温かい場所が実現できたと感じており、それが本当に良かったです。

私の祖母は地方の山奥に住んでいて、近所の子どもたちがよく遊びに来たり、祖母と一緒に過ごしたりしています。全く関係ない子どもたちや祖母の友達が遊びに来る話を聞くと、地域のつながりはすごいなと思います。しかし、自分が住んでいるマンションでは隣に誰が住んでいるかも知らない状況です。私はまだ大学というコミュニティがありますが、地域のコミュニティというと、昔学校でやっていた囲碁教室くらいしか思い浮かびません。卒業してからは全く行かなくなり、帰れる場所がないと感じています。

「帰れる場所が一つあると良いな」という自分の体験はこのイベントを作った大きなきっかけとなっています。私の祖母の家のもう片方が大阪にあるので、就職した後でも、大阪に行った際は寄れるような場所であってほしいと思います。

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